遺産分割の調停において解決金の金額がその土地の時価より著しく低いときは、低額譲受に当たるとした事例。

家庭裁判所の調停調書に基づいて解決金の支払により土地を取得した場合でも、その解決金の金額がその土地の時価より著しく低いときは、低額譲受に当たるとした事例。

(平成12年6月29日裁決・公開)

1. 事案の概要等

(1)事案の概要

本件は、請求人が家庭裁判所の調停で示された解決金を支払って土地を取得したことが、当該土地の時価に比して著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けたことに当たるとして相続税法第7条の規定(以下「本規定」という。)が適用されるか否かを争点とする事案である。

(2)基礎事実

イ. 平成8年10月25日(以下取得日という)に、E家庭裁判所で、昭和53年8月24日死亡したF(以下本件被相続人という)の遺産分割の調停が成立した。

ロ. 請求人は、その調停事項に基づき、本件取得日に下記の解決金を支払った。

解決金4,000,000円

(Q市R街8丁目1509番25所在の宅地181.48㎡)

(本件宅地という)

 

2. 審判所の判断

(1)本規定の趣旨について

本規定は、「著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があった時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があった時における当該財産の時価との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与に因り取得したものとみなす」となっている。

本規定は、法律的には贈与契約によって財産を取得したものではないが、経済的には時価より著しく低い価額で財産を取得すれば、その対価と時価との差額については、実質的に贈与があったとみることができるので、この経済的実質に着目して、税負担の公平の見地から課税上は、これを贈与とみなす趣旨のものと解される。

(2)贈与税の趣旨と本規定の適用について

ところで、請求人は、本件土地の売買が親族以外の第三者との取引であるにもかかわらず、原処分庁が、これを低額譲渡と認定したことは誤りである旨主張するが、上記のとおり、本規定は、親族間の取引の場合についてのみ適用し、第三者間の取引の場合には適用しないとはされていないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。

(3)本件土地の価額について

原処分庁が本件基準地の標準価格から比準し、借地権の価額に相当する金額を控除して求めた価額13,284,336円は、本件取得日における本件土地の時価を表しているものと認められる

上記のとおり、本件取得日における本件土地の時価は、13,284,336円であると認められるが、請求人は、本件解決金の額4,000,000円を支払って本件土地を取得しているのであるから、請求人の本件土地の取得は、本規定の「著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合」に該当し、請求人は、時価と本件解決金との差額9,284,336円を本件相続人らから贈与により取得したものとみなされることとなる。

そして、当該贈与により取得したものとみなされた金額を基に納付すべき贈与税額を算定すると2,507,800円となり、この金額と同額でなされた本件決定処分は適法である。

3. コメント

家庭裁判所の調停により取得した土地であっても、金額によっては贈与税が課せられる場合があります。

1. 家庭裁判所の調停による解決金 …   4,000,000円 … ②

2. 本件土地の時価        … 13,284,336円 … ①

3. 贈与により取得したとみなされる金額(低額譲受)
①—②            …  9,284,336円

4. 3により納付すべき贈与額          …  2,507,800円