哲学者カントと三郎青年(中村天風)
中村天風というヨガの哲人がいます。
その中村天風さんの考え方をまとめた本(『運命を拓く』中村天風著、講談 社文庫)のなかに下記の言葉があります。
「私はもはや何事をも怖れまい。
それはこの世界ならびに人生には、いつも 完全ということの以外に、不完全というもののないよう宇宙真理が出来ているからである。
否、この真理を正しく信念して努力するならば、必ずや何事 といえども成就する。
とてもありがたいなと思っております。
だから今日はいかなることがあっても、また、いかなることに対しても、 かりにも消極的な否定的な言動を夢にも口にするまい、また行うまい。
そして いつも積極的で肯定的の態度を崩さぬよう努力しよう。
同時に、常に心をして思考せしむることは、”人の強さ”と”真”と”善”と ”美”のみであるよう心がけよう。
たとえ身に病があっても、心まで病ますまい。
たとえ運命に非なるものが あっても、心まで悩ますまい。
否、一切の苦しみをも、なお楽しみとなすの 強さを心にもたせよう。」
この文章をしみじみと考えていると、その本の中に知る人ぞ知る大哲学者の 「カント」の話がでてきます。
カントは少年のときくる病に苦しんでいた時 の話が記載されています。
それは下記の通りです。
「ある日のこと、サラは「カントの自叙伝」を三郎(中村天風)にすすめた。
読み進むうちに三郎の表情は変わってきた。
カントは、胸に奇型的な痼疾をもっていたという。
時に訪れてくる巡回医師 は、少年カントに向って「この病いは一生治らないだろう。だがあなたの心は病んではいない。
これからは、辛い、苦しいといわずに、自分のやりたいことをやりなさい」とさとした。
それから少年カントは哲学を志し、大カントといわれる程の哲学者になったという。
三郎の眼はうるんだ。
自分は朝から夜まで病いを苦しみ、恨み続けていた。
自分の生き方の誤りを三郎は痛烈に感じた。
後に三郎が天風となり、心身統一法を開く時、この体験は、「たとえ身に病いがあっても心まで病ますまい」という鮮烈な叫びとなって表現されるのである。」
私はこれらの文章に感動し、日々の仕事や個人の生活においても、「たとえ身に 病いがあっても心まで病ますまい、たとえ運命に非なるものがあっても、心まで 病ますまい…」と思って生きるように努めるようにしています。
そうすると少しずつですが、以前の私よりも強くなっているのがわかってきました。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。
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