土地の無償返還の届出と底地の評価
土地の無償返還の届出のある土地の底地の評価
裁決要旨
請求人は、本件土地の所在する地域に借地権の取引慣行はあるが、借地権の設定に際し権利金を支払う慣行がないから、原処分庁に本件無償返還届出書が提出されているとしても、本件土地の評価に相当地代通達8の適用がなく、本件土地の自用地としての価額から借地権相当額を控除して評価すべき旨主張する。
しかしながら、本件土地の所在する地域は、A市の中心部に隣接し、都市計画法上の商業地域内で容積率の高い地区にあって中高層の店舗及び事務所が連なる高度商業地域に位置していることから、借地権自体が高い経済的価値を有しており、当該地域において、借地権が取引の対象となっていることは周知の事実である。
このような地域において、土地の所有者が第三者に建物を建築させる場合、(1)借地借家法により借地人が強い保護を受けること、(2)将来、地代の値上げができるという保証がないこと、及び(3)上記のとおり借地権自体が取引の対象となっていることを考慮すれば借地権の設定に際し貸主が高額な権利金を要求することは容易に推認できる。
したがって、本件土地が所在する地域は借地権の設定に際し権利金を支払う慣行のある地域と認定できるから、原処分庁が、本件無償返還届出書の提出されている本件土地の評価に当たり、相当地代通達8を適用し自用地としての評価額の80パーセント相当額で評価したことは相当である。
(平13.6.6大裁(諸)平12-110)
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