土壌汚染のある土地と認められるので、浄化改善費用相当額を控除すべきとした裁決事例

評価対象地は、土壌汚染のある土地と認められるので、浄化改善費用相当額を控除すべきとした裁決事例 令和3年12月1日公開事例
請求人の主張
本件土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から、浄化・改善費用相当額を控除すべきである。
本件各土地が、f 駅の近隣に位置する利便性の高い土地であることなどからすると、高層 ビル用地としての使用が本件各土地の最有効使用であると認められるところ、高層ビル用 地として取引される場合には、掘削除去を行うことが一般的であるから、 本件各見積額は、 土壌汚染の掘削除去を前提としたものであり、適正な金額である。
原処分庁の主張
本件各土地は、相続開始日現在の使用状況が最有効使用の状態であり、その使用を継続するに当たって、汚染の除去等の措置を講ずる必要はないから、本件各見積額は、不要な土壌汚染対策工事を前提とした過大な金額である。
国税不服審判所の判断
相続財産の評価に当たっては、評価通達に定められた評価方法によって画一的に評価す ることが相当であるところ、評価通達1 の (3) は、相続財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべき全ての事情を考慮する旨定めている。そして、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から、浄化改善費用相当額を控除することができるか否かについては、 評価通達に特に定めはないものの、本件情報のとおり、 課税実務においては、浄化・改善費用相当額(工事見積額の80%相当額)を控除して評価する取扱い(以下「本件取扱い」という。)が認められているところ、この課税実務における本件取扱いは、評価通達1の(3)の定めに照らし、合理的なものであると認められる。
本件土地及び本件2土地については、本件相続開始日後の令和2年10月に実施された N社による調査により、いずれの土地からも土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質が検出されている。そして、本件土地及び本件2土地について、本件相続開始日後に新たにこれらの特定有害物質が発生した事実は認められないことから、これらの特定有害物質は、本件相続開始日において地中に含有されていたものと認められる。
以上から、本件各土地には、本件相続開始日において、いずれも土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質が地中に含有されていたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であることから、本件各土地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を考慮すべきである。
この点、本件各土地の本件相続開始日における利用状況は、立体駐車場又は平置きの駐車場や駐輪場であるが、本件各土地周辺は、主に商業施設や中高層のオフィスビル等が建ち並ぶ地域となっており、 本件各土地は、容積率 600%又は 800% で、いずれも高度地区の第○種(最高〇m)として指定されていることから、本件各土地の最有効使用は、中高層の建 築物の敷地であると認められる。
そして、本件各土地の土壌汚染の状況は、本件土地及び本件土地については深度0.5mから5mにわたり、本件3土地については深度0.5m に、本件4土地については深度1.5mから4mにわたり、いずれも土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質の地中含有が 認められる状況であることからすると、掘削除去が本件各土地について最有効使用ができる最も合理的な措置であると認められる。
そうすると、本件各見積額は、本件各土地について最有効使用ができる最も合理的な措 置における浄化・改善費用の金額として、いずれも相当であると認められる。
したがって、本件取扱いにより控除すべき浄化・改善費用相当額は、本件各見積額(本件1土地及び本件 2 土地に係る見積額については、本件相続開始日に時点修正した金額)の 80%相当額によるのが相当である。
関係法令等
※ 相続税法関係
1 財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)1 《評価の原則》の (3)は、財産の評価 に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべき全ての事情を考慮する旨定めている。
2 土壌汚染対策法施行令(平成28年政令第74号による改正前のもの。 以下同じ。) 第3 1条 《特定有害物質》は、同法第2条第1項の政令で定める物質は、次のイないしチ 記載する同施行令第1条の各号に、それぞれ次のイないしチの物質を掲げている。
イ シスー・ニージクロロエチレン (第9号)
ロ テトラクロロエチレン (第14号)
ハ トリクロロエチレン (第18号)
二 鉛及びその化合物(第19号)
ホ 砒素及びその化合物 (第20号)
へ ふっ素及びその化合物 (第21号)
ト ベンゼン(第22号)
チ ほう素及びその化合物 (第23号)








