借地権の目的となっている宅地には該当せず、 使用貸借であるとした事例

相続より取得した土地

相続により取得した本体土地は、借地権の目的となっている宅地には該当せず、 使用貸借であるとした事例         令和元年9月17日裁決公開

請求人の主張

本件土地の被相続人と請求人との間の賃貸は、賃貸借があるから本体土地は借地権の目的となっている宅地である。

使用貸借通達1は、土地の貸借において、当該土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは使用貸借に該当する旨定めているが、本件土地の賃料の額は、本件相続の開始の年の固定資産税等の額を上回っているから、本件土地の貸借は使用貸借ではない。

原処分庁の主張

本件土地の被相続人と請求人との間の賃貸は、賃貸借ではなく使用貸借であるから、本件土地は借地の目的と言っている宅地には該当しない。

国税不服審判所の判断

①請求人らによる本件各土地の使用は、本件各支払金員の支払が開始する以前においては使用貸借によるものであって、その後においても、請求人らと被相続人との間で権利金の授受はないこと、②本件各支払金員の額は固定資産税等の額と同程度であること、③本件各支払金員の年額は被相続人が第三者に対して賃貸していた本件各土地の近隣の駐車場 用地の賃料の年額に比して低廉であること、④被相続人と請求人らは親子関係にあること などから客観的に判断すると、本件各支払金員は本件各土地の使用収益に対する対価であるとは認められず、請求人らは使用貸借契約に基づき使用収益したものと認めるのが相当であることから、本件各土地は借地権の目的となっている土地であると認めることはできない。

関係法令等

※ 使用貸借通達
使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて (昭和48年11月1 日付直資 2189 ほか 国税庁長官通達。以下「使用貸借通達」という。)

1 《使用貸借による土地の借受けがあった場合》は、建物又は構築物の所有を目的として使用貸借による土 地の借受けがあった場合においては、 借地権(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権をいう。)の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金(以下「権利金」という。)を支払う取引上の慣行がある地域においても、当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う旨定め、この場合において、使用貸借とは民法593条に規定する契約をいい、土地の借受者と所有者との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものはこれに該当する旨例示している。 ※ 民法第 593条 《使用貸借》

この条文は、使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる旨規定している。 ※ 民法第601条 《賃貸借》

この条文は、賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、 相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる旨規定している。
※ 借地借家法第2条 《定義》 第1号

この条文は、 借地権とは建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう旨規定している。

コメント

請求人は、本件土地の地代は、被相続人に支払っており、 その年額は固定資産税等を上回っているので、本件土地契約は使用貸借ではない。 本件土地は、 借地権の目的となっている土地であると、主張する。

審判所は、 1本件土地の地代は、固定資産税等と同程度であること、2本体地代は近隣の駐車場用地の賃料の年額に比べて低廉であること、3被相続人と請求人は親子関係にあること等を判断すると、本体支払金員は、本件土地の使用収益に対する対価とは認められず、賃貸契約による使用収益使用と認められるので、本件土地は、 借地権の目的とする土地とは認められないと、審判所は判断した。

本件土地が借地権の目的となっているか否かの判定において、審判所は、①権利金の授受がないこと、②地代が固定資産税等と同程度であること、③近隣の駐車場の賃料に比べて低いこと、④親子の賃貸であることをあげており、以上の内容を勘案し、 請求人は使用貸借により本件土地を使用収益していたと、判断しています。

特に言えることは、地代が固定資産税等より上か下か、上とした場合どれ位上かが、 ポイントになるかと思います。

又、土地の賃貸借契約をした当初は地代が固定資産税等よりも高かったが、長期にわたり地代の改行が行われず、 地代が固定資産税等と同程度になることもあるので、時折地代の チェックをすることをおすすめします。