中古のマンションの時価

2019年4月18日

中古のマンションの時価は建替を前提となったら、マンションの価値が上がる場合にはその増価を見込んで取引価格を決めないと問題が生じますよという裁決事例がありますので、掲載します。
本件マンションの建て替えが管理組合で具体化している場合には本件のように注意が必要です。

請求人が父から贈与を受けたマンションの価額は時価を表した価額とは認められないとした事例。

(H12.10.13 裁決)

1.事実

(1)事案の概要

本件は、請求人が贈与により取得した不動産の価額は、不動産鑑定士による鑑定評価額が相当であるとして贈与税の申告をしたが、原処分庁は、財産評価基本通達に基づく評価額が相当であるとした事案です。

(2)審査請求に至る経緯

イ.請求人は、平成19年7月21日、請求人の父○○から不動産を取得し、・・・相続税法第21条の9(相続時精算課税の選択)第1項の規定の適用を受けるものとして、法定申告期限までに申告したが、原処分庁はこれに対し、○○とする更正処分等を行い、争いに至った事案です。

(3)基礎事実

中古のマンションの時価イ.求人は、平成19年7月21日、本件贈与者との間で本件不動産の贈与契約を締結し、これを取得した。

本件不動産・・本件甲1土地、本件各建物をいう

本件不動産は、昭和33年建築、本件甲1土地上の5棟の共同住宅のうち5号棟に存する区分所有建物(床面積42.31㎡)及び管理用事務所並びにその敷地(約81㎡)

なお、共同住宅は全148万、1戸当たり敷地平均地積約76㎡。

(4)争点

本件不動産の評価にあたり、評価基本通達により難い特別な事情があるか否かである。

2.主張

(1)原処分庁

以下の理由から、本件不動産の価額は・・・評価基本通達の定めにより評価した○○○である。

イ.本件不動産の相続税評価額は、・・・○○であるが、本件甲土地の近隣における公示価格及び取引事例を基に・・・本件甲1土地の時価(客観的交換価値)を算定すると、107,316,471円となる。

ロ.各区分所有者は、敷地の持分を出資し、建替え事業完了後にそれぞれの出資に見合った価額の新築住戸を取得する方式を採用した建替えが行われる蓋然性が高い。

したがって、○○が作成した鑑定評価書は、本件不動産の将来性を考慮し、土地の財産価値に重きを置く積算価額を比準価格より重視すべきであるところ、積算価格は参考程度としていることから、○○○の建替計画の存在を適切には反映したものとはいえず、本件不動産の客観的交換価値(時価)を表した価額であるとは認められない。

(2)請求人

イ.本件不動産の価額は以下のごとく評価基本通達により難い特別な事情がある。

(イ)マンションの土地部分と建物部分を区分し、それぞれ別個の不動産として価額を算定することになるから、建物の占専有部分の床面積に対応するその敷地面積が広大な○○○の時価の算定を評価基本通達の定めにより行うと売買の実態と乖離した非常に高い価額となる。

(ロ)本件不動産は、築50年の・・・団地型マンションで、住居面積は狭く、建物も経年劣化し、給排水設備は陳腐化し、エレベーターはなく、高齢者に対応した構造にはなっておらず、今日の水準から見ると、居住性能は著しく不十分な建物である。

(ハ)本件不動産の価額は、本件鑑定評価額とするのが相当である。客観的にみて建替え事業が確実に実現するであろうと判断できるのは建替え決議がなされた平成19年10月28日以降であり、本件贈与の日においては建替との検討計画段階にすぎず、建替えが確実に実現できる状況ではない。

3.審判所の判断

(1)認定事実

イ.本件甲土地

(イ)本件甲土地は、○○の南約500㎡、○○○の北西約600㎡に位置する。

(ロ)本件甲土地は、11,345.91㎡で地盤に甚だしく凹凸があり、利用価値が低い法面185.88㎡、公衆化している建築基準法第42条第1項第5号道路が998.41㎡公園563.22㎡を有する略台形の土地である。

ロ.本件建替計画について

(イ)○○の管理組合の臨時総会が平成18年2月18日開催された。

A建替推進決議、B建替推進委員会の設置決議、C事業パートナーとして○○を選定するための決議を採決した。

なお、その計画概要は、7階建の建物を建築し、○○の区分所有者全員が敷地の持分を出資し、事業完了後に、各区分所有者及び事業パートナーが出資額に見合った評価額の新築建物の住戸を取得する方式(等価交換方式という)により、新築建物の取得面積は既存建物の2倍以上になるものであった。

(ロ)平成18年4月25日、本件管理組合は○○と建替え事業について「○○○建替え事業協力に関する覚書」を締結した。

(ハ)本件管理組合は、平成19年5月30日○○との間で、建替え事業について「○○○建替え事業協力に関する覚書(その2)」を締結している。

(二)○○○の5棟すべての建物を取り壊し、その敷地に共同住宅建物を建設するための建替え決議は平成19年10月28日、○○○の区分所有者の全員の同意により成立した。

(ホ)請求人は平成20年11月11日等価交換により共同住宅の1室(87.81㎡)を譲り受けた。

(2)評価基本通達の定めにより評価した価額

イ.本件甲土地

本件甲土地は・・・奥行価格補正・・・不整形地補正・・・凹凸があり、利用価値が著しく低下している法面を減額し・・・その内容は別表のとおりである。

ロ.本件各建物

中友建物の固定資産税評価額に1.0を乗じて評価することとなる。

(3)本件鑑定評価額について

(イ)比準価格(21.700.000円)を重視し、収益価格(19.700.000円)を関連付け、実現性に不透明感が残る積算価格(110.000.000円)については参考ていじめ、将来における土地価格実現の可能性を考慮して本件評価額を○○○円としている。

なお、本件鑑定評価額においては、本件建替計画は考慮されていない。(ロ)本件贈与の日において本件建替計画に係る建替決議は成立していないが、

上記内容から本件贈与の日現在○○○は建替えが行われる蓋然性が極めて高いと認められる。又既存建物の2倍以上の面積の建物を取得できることが予定されていたことを考えると、本件鑑定書における比準価格の算定は

これらの事情を充分に考慮されていない。)以上から本件鑑定評価額は不動産の客観的な交換価値を表すものとは認められない。

(ニ)以上の結果から本件不動産価額は原処分庁主張額と同額となる。

※原処分庁の相続税評価額

土地71,392,340円
建物 :  不          詳
合計 :  不          詳

 

広大地は、昨年(H29年)12月31日をもって「地積規模の大きな宅地の評価」に変わりましたが、広大地を使った相続税還付はこれからも活用できます。

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