公共公益的施設用地の判定と広大地評価に該当するとした事例
評価対象地は、公共公益的施設用地の負担が必要なので、広大地に該当するとした事例(平成24年8月28日裁決・仙台・公開)
本件土地の概要
本件土地は、本件相続開始日において、請求人所有の家屋の敷地の用に供されていた。
本件土地は、西側幅員約6mの道路に25m接面し、東側は幅員約6mの道路に18.5m接面しており、奥行きは北側53.5m、南側38.5mの台形に近い不整形な土地である。
本件丙地域の標準的使用は戸建住宅地と認められるものの、その状況は、農地等の開発されていない土地も多く見受けられるが、戸建住宅が整然と建ち並ぶ地域である。本件土地の存する地域の用途地域は、第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)である。
審判所の判断
(1)評価基本通達の定める「公共公益的施設用地」の負担の要否について
①本件丙地域における本件通達に定める「標準的な宅地の地積」は、上記ロのとおり、180㎡以上210㎡未満であると認められ、当該地積に基づいて本件土地を開発した場合、宅地の区画として5区画の開発が想定される。
②また、本件丙地域における平成9年ないし平成20年の宅地開発状況等をみると、道路を開設した戸建住宅用地の開発事例甲は3件あるが、路地状開発による戸建住宅用地の開発事例乙は1件のみである。
③本件丙地域における「標準的な宅地の地積」及び本件土地の形状、地積及び西側と東側にある公道との接続状況から、仮に本件土地について路地状開発を行うとすれば、別紙4の原処分庁が主張する開発想定図にある開発を行うことが想定されるところ、この場合の路地の長さは20メートル程度必要となるが、そのような長さの路地がある路地状開発の事例も、本件甲地域内の路地状開発の事例6件の中に1件もない。そうすると、原処分庁の主張する開発想定図は、本件甲地域においても一般的な開発想定図であるとはいえないから、本件土地については、別紙8のとおり、道路開設による開発をするのが経済的に最も合理的な開発であると認められる。
したがって、本件土地は開発行為をするとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要な土地であると認められる。
以上のことから、本件土地は、本件通達の「その地域」における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な土地に当たり、公共公益的施設用地の負担が必要と認められることから、本件土地は本件通達に定める広大地として評価するのが相当である。
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)