高層マンションが隣接地 7,000坪の土地が広大地となったケース
西側と北側に中高層マンション(市営住宅、県営住宅、UR住宅)が集中している一方、南側は幹線道路、東側は一級河川によって行き止まりになっているという土地が広大地として認められた事例です(図表3-3)。
なお、依頼時点では、この土地は事業所用敷地として利用されていました。
❖物件の概要
面積:23,000㎡
地形:ほぼ台形状
接道:三方道路
用途地域:第2種住居地域(60%、200%)
駅への距離:徒歩13分
周辺の利用状況:事業所・共同住宅等が混在する地域
土地の利用状況:事業所
❖考察
本件については、2-3節「マンション適地とは、どういう土地か」で説明したマンション適地か否かの判断基準に基づいて判定しました。
一番の難関は、周囲に10階以上の高層マンションが建ち並んでいることです。通常、周囲にこれだけ多くの高層マンションが林立している状況では、マンション適地であると判断されてしまいます。
本件では、それをマンション適地ではないと説明する必要がありました。
周辺の利用状況を詳しく調査したところ、これらマンションは市営住宅、県営住宅、U R住宅であることがわかりました。そこで、これらマンションは民意を反映させたものではなく、市場価値が反映されていないということを、事例を用いて説明しました。
また、周辺地域における500㎡以上の開発事例は、マンションより戸建分譲開発が行われていること、評価対象地と同規模の開発事例が戸建分譲住宅事例であったこと等も併せて説明しました。その結果、広大地として認められました。
本件のように、周囲に高層マンションばかりの立地状況の場合、通常はマンション適地と判断されます。それにもかかわらず広大地として認められたのは、広大地判定の意見書を添付したことが大きく影響したものと思われます。
ところで7,000坪もの広大な土地になると、広大地が適用されるか否かによって納税額は大きく異なります。広大地が適用され65% 減額となったことで、通達による価額約40億円が約17億円と、約23億円もの節税となりました。
広大地として認められたポイントはここにある!
①賃貸マンション群が林立する「その地域」を、マンション適地ではないと説明できたこと。
②評価対象地と同規模の土地が、戸建分譲住宅地化している事例があったこと。
③市営住宅・県営住宅・UR住宅は市場立地を十二分に考えて建てているケースは少なく、市場性・民意が反映されていないことを説明したこと。
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