マンション敷地と広大地判定
賃貸マンション(3階建)の敷地として利用されている土地
本件土地上に賃貸マンション(3階建)が存する土地が広大地として認められ、相続税の還付が受けられた事例です。
1.対象不動産の概要
画地条件等:
- 東側間口:約22.7m
- 南側間口:約78m
- 面積:1826㎡(有効宅地部分1781㎡、私道負担部分36㎡)
- 形状:ほぼ長方形
- 接道:東側約4.3m市道(一部私道負担)
- 用途地域:準工業地域
- 建ペイ率:60%
- 容積率:200%
- 駅への距離:1.8km
- 土地の利用状況:3階建賃貸マンション
- 周辺の利用状況:中小規模一般住宅のほかモータープール・小工場・事業所・共同住宅等が混在する地域
2.この事例の広大地判定のポイントは何か
①マンション適地か否か
②開発を了している土地か否か
相続発生時、賃貸マンションが建っている。
3.考察
A.16年情報 資産評価企画官情報(H16.6.29)の(3)では・・・
(3)マンション適地の判定
評価対象地について、中高層の集合住宅等の敷地、いわゆるマンション適地等として使用するのが最有効と認められるか否かの判断は、その土地の周辺地域の標準的使用の状況を参考とすることになるのであるが、戸建住宅とマンションが混在している地域(主に容積率200%の地域)にあっては、その土地の最有効使用を判断することが困難な場合もあると考えられる。
このような場合には、周囲の状況や専門家の意見等から判断して、明らかにマンション用地に適していると認められる土地を除き、戸建住宅用地として広大地の評価を適用することとして差し支えない。と述べています。
B.17年情報(資産評価企画官情報第1号H17.6.17)では・・・
「広大地の判定に当たり留意すべき事項」のなかで中高層集合住宅等の敷地に適しているものは広大地から除くと規定し、括弧書きで、「(その宅地について、経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいう)」と定義しています。
これは、その周囲に中高層集合住宅等が増加しつつあり、評価対象地の地積、地形、行政上の条件等から中高層集合住宅等の建築が可能であっても、その利用方法が「経済的に最も合理的であると認められる」方法であるのかどうかを検討しなければならないことを注意的に述べたものと解されます。
特に、賃貸用マンションについては、公営住宅等、企業社宅、寮のように経済的合理性に重きを置いていないもの、また、昔からの地主で土地代を含めない採算計画で賃貸マンションを建築運用している場合には注意しなければならないと思います。
本件の場合、基準容積率に対して実行容積率は49%と極めて低い状況です。
係る点を十分に説明する必要があります。又開発を了しているか否かを説明するべきでしょう。
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)