私道の評価
相続税法上私道の評価について争いになるケースがありますが、
今回は幅員約4m、奥行約42mの私道の価額が争いの対象となった事例(東裁(諸)平23第99号、平成23年12月19日裁決)です
『請求人は、私道の大部分が建築基準法上の位置指定道路であること、水道管・ガス管等が埋設されていることなどから宅地化の可能性・資産価値が相当低く、公道的性格が強いため、評価通達24前段の定めにより評価すると時価を上回るので鑑定評価額により評価すべきと主張しました。
しかしながら、評価通達24は、私道を
①不特定多数の者の通行の用に供する通り抜け私道と
②袋小路のように専ら特定の者の通行の用に供する行き止まり私道に分け、
上記①に該当するものについては、公共性が強くなり、私有物としての利用が大きく制限され、私道を廃止して宅地となる可能性は極めて低くなるから、評価しないこととし、
上記②に該当するものについては、ある程度の成約はあるが、私有物としての使用、収益、処分は可能であること、
特にそのような私道に沿接する土地が同一人の所有に帰属することとなると、私道はその敷地内に包含され宅地になる可能性があり、相応の財産的価値があることから、路線価を基に計算した価額の30%に相当する価額で評価することとしているものと解され、
また、旧国土庁が作成した土地価比準表において、私道の利用状況が共用私道か準公道的私道かに応じ、前者の価値率を50%から20%までとし、
後者の価値率を20%以内としていることからして、かかる取り扱いは合理的であると認められる。
そうすると、本件私道は行き止まりで、公共施設等が沿接していた事実もないから、
その利用者は専ら本件私道に沿接する建物の居住者等に限定されるので、
同通達24の定めにより路線価の30%相当額で評価することが相当である。』
※本件については本件位置図から判断するに、この位置指定道路(本件道路)が解除される可能性があることを上記理由の1つに考えられると思います。
不特定多数の人の通行の用に供することにより位置指定道路が解除できなければ道路はゼロ評価になると思います。
長い文章をお読み頂きありがとうございました。