広大地判定のための調査事項
広大地は、昨年(H29年)12月31日をもって終わりましたが、相続税還付はこれからも活用できます。
広大地判定をするに際、特に注意しなければならないことがあります。
それは、机上・現地調査がいかに大切であるかを認識することです。
調査漏れは、依頼人に少なからず経済的な不利益を生じさせることがありますし、税理士・不動産鑑定士等は場合によっては損害賠償を請求されることもあります。
このことをよく認識し、広大地判定のために十二分な調査を行う必要があります。
ここでは調査の概略だけを説明します。基本的な姿勢は次の2つです。
①現地確認を怠らずに行うこと。
②疑問な点はそのままにせず、役所等に問い合わせをすること。 |
役所等は具体的に聞かなければ、何も答えてくれません。
ですから、役所等への問い合わせは忘れずに行うようにしましょう。
調査事項は次の通りです。
①評価対象地の確認
評価対象地を確定します。そのためには、所在地番、住居表示、範囲、面積、地目、対象地上に存する権利、建物存在等を確認します。 ②法務局での調査 ①で確定させた内容を法的に調査します。全部事項証明書、公図、地積測量図、建物図面等を確認します。 ③市役所での調査 用途地域、道路の種類、建築基準法上の道路か否か、開発登録簿等を確認します。 ④評価対象地での確認作業 間口、奥行、道路幅員測定、現況の確認等(法面、平坦な土地か等)を確認します。 ⑤開発する場合の開発許可を要する面積の確認 開発に当たっての開発許可面積は、各自治体によって異なるので、十分な注意が必要です。たとえば、三大都市圏では500㎡以上ですが、自治体によっては300㎡以上と定めている地域もあります。確認は、各自治体の開発指導課またはホームページで行います。 ⑥開発する場合の最低敷地面積の確認 自治体の多くは宅地分譲開発許可をするに当たり、より良い住環境を整備することを目的に最低敷地面積を定めています。また、用途地域ごとに最低敷地面積を定めています。確認は、各自治体の窓口またはホームページで行います。 ⑦評価対象地周辺の利用状況の確認 広大地か否か、言い換えれば戸建分譲用地が最有効利用か否かは、評価対象地周辺地域の不動産利用状況、市場の動向等により判断します。この件については国税庁も「周囲の状況や専門家の意見等から判断して、明らかにマンション用地に適していると認められる土地を除き、戸建住宅用地として広大地の評価を適用することとして差し支えない」と述べています(16年情報)。 結局のところ、周囲にマンションがあるか、店舗なのか、戸建住宅が多いのかを確認していくしかありません。 ⑧過去10 年間のマンション・共同住宅等の建築状況の確認 審判事例やこれまでの経験から判断すると、おおむね10年程度は過去のマンション・共同住宅等の建築状況を確認する必要があります。 こうした確認を行うのは、その地域が「現にマンション等が建てられている、また現在も建築工事中のものが多数ある」、すなわち「マンション敷地等としての利用に地域が移行しつつある」のかを判断するためです。 ⑨過去10 年間の戸建分譲住宅の開発状況の確認 ⑧同様、おおむね10年程度の過去の戸建分譲住宅の開発状況を確認します。これは、各自治体の開発指導課で「開発登録簿」と「土地利用計画図」の写しを請求することで確認できます。 これも⑧同様、その地域が戸建住宅へ移行しつつあることを確認する資料になります。 ⑩広大地・不動産の専門家の意見またはセカンド・オピニオンによる確認 広大地の判定というのは、たいてい判断に迷うものです。迷った場合には、他の専門家(不動産鑑定士等)やセカンド・オピニオン等の意見を求めることも検討しましょう。要は、常に最新の情報を把握することです。 |
このように多面的な意見を申告書に添付することで、税務署の担当者の理解の一助になれば、広大地として認められる可能性が高くなります。
広大地の判定には評価対象地の調査がいかに大切であるかを説明してきましたが、調査漏れなく、どれだけの資料を収集できるかが広大地適用の重要な鍵となります。
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)