広大地評価・判定とマンション適地の判断について

2019年6月12日

広大地判定とマンション適地の判断について

ホームページからのお客様で、広大地についてお問い合わせがありました。

マンション

『広大地評価判定について、相続発生日現在、4階建の共同住宅が現存するので、広大地にはなりません。4階建の共同住宅として開発許可を受けて建っている、即ち開発を了しているので、広大地には該当しませんと税理士先生に言われたので、広大地の意見書の作成をお断りします』ということがありました。

私どもで市役所・現地調査した結果、たとえ開発を受けて共同住宅が建てられていても、「中高層の集合住宅等の敷地用地として使用するのが最有効使用と認められず、広大地の要件を満たせば、広大地に該当します、と申し上げておりますし、広大地になった実績もあります。

開発を了していても、中高層の集合住宅の敷地用地として使用するのが最有効使用でなければ、広大地になる可能性があることを知っていただきたいと思います。

この案件で当初申告で広大地を適用せずとも更正の請求で広大地を適用して申告される方法もあります。下記の事例はその時の事例です。

本件土地は、マンション適地等に該当するから、広大地には該当しない!!

関東信越の国税不服審判所の裁決事例によれば、

請求人(納税者)及び原処分庁(税務署)は、

本件土地は戸建住宅分譲用の土地であって開発道路を設けるべきか

路地状開発を行うべきかと争っていましたが、

同審判所はマンション適地であるから、広大地には該当しないと判断しました

その要旨は下記の通りです。

(関東信越・公開 平成19年7月9日)

 

(1)判断

請求人ら及び原処分庁は、本件土地が本件通達に定める広大地に該当するか否かについて、

広大地から除かれるマンション適地等には当たらないとして

上記のとおり、戸建分譲に係る公共公益的施設用地の負担の必要性について主張する

しかしながら、上記の認定事実等に基づき判断すると、次のとおりである。

イ 本件地域は、①幹線道路であるS通りの沿道であることから、規模に制限のない店舗等を許容する第二種住居地域に指定され、

その結果、幹線道路の交通量を勘案して沿道の後背地にある主に第一種中高層住居専用地域の住環境を保護する効果をもたらしている地域であり

また、②P市プランにおいて商業・文化機能等を強化した建築物の誘導等を推進する地域にあり

R駅前商業地域に隣接して、極めて交通の便も良く中高層の集合住宅等のほか大規模な店舗や事務所の建築に適した地域で

③現に、戸建住宅のほか、アパート、マンション、店舗併用集合住宅などの中高層の集合住宅及び事務所、大規模な店舗などの商業施設が混在し

④加えて、建築物の建築をするために開発許可が必要となる地積500平方メートル以上の土地に係る建築物の建築状況をみると集合住宅等や商業施設などが建築されている状況にあり

特に、本件土地とS通りを挟んで南側に位置する本件土地と規模、形状、接道状況が酷似する土地には、7階建ての分譲マンションが建築されていることなどから

本件土地は、社会的・経済的・行政的見地から総合的にみても、マンション適地等に該当するものと認められる

したがって、本件通達に定める広大地には当たらない。

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コメント

本件においては、請求人ら及び原処分庁共にその地域における最有効使用は戸建住宅分譲であって、宅地分譲する場合に開発道路を設けるか、路地状開発を行うか、二者択一の論理を展開していますが

審判所は、マンション適地であると判断しました

審判所はその地域を『本件地域は、幹線道路であるS通りの沿道である…現に、戸建住宅の他アパート・マンション、店舗併用集合住宅などの中高層住宅及び事務所・大規模な店舗などの商業施設が混在し…』とし、『本件土地はマンション適地等に該当する』としました。その決め手は、

①本件地域は、幹線道路であるS通りの沿道であること

②本件地域はR駅前商業地域に隣接して、極めて交通の便も良く、アパート・マンション、店舗併用集合住宅などの中高層の集合住宅及び事務所、大規模な店舗などの商業施設が混在すること

③本件土地とS通りを挟んで南側に位置する本件土地と規模・形状・接道状況が酷似する土地には、7階建の分譲マンションが建築されていること

等です。

その地域のとり方をどうとるかによって、大きく結論が異なることを本件事案は証明しているかもしれません。

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関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)