市街化調整区域内宅地の鑑定

2019年7月9日

市街化調整区域内の土地は利用制限が厳しく建物が建つか否かによって、土地は大きく差が生じるのが現状で市街化調整区域内宅地の鑑定す。
不動産鑑定の作業をするにあたっての留意事項についての記載されている記事がありましたので掲載します。

 

不動産鑑定評価作業に際しての留意事項

(1)基本的事項の確定

①対象不動産の確定

鑑定評価の依頼目的及び条件に照応する対象不動産と、当該不動産の現実の利用状況とを照合して確認するという行為を経て最終的に確定する。
特に注意を要するのは、地域要因又は個別的要因に付加される想定上の条件である。後述の様に、市街化調整区域内においては、法によりその規制の分類が多岐にわたり、条件の設定の誤りが非合法に直結する場合が多く、又、条件の内容によって価格が大きく異なるためである。

②価格時点

今回廃止された「既存宅地」制度が都市計画法に定められる(S49)以前にまで遡る過去時点の場合は、対象不動産の確定(特に行政的要因の把握)に困難が生ずることが予測される。

将来時点の評価については、行政的条件を適正に評価に反映し得るかが問題となる。

(2)対象不動産の確認

①物的確認

対象不動産の存否、内容を確認資料により物的に照合する。

土 地:所在地番、地積、境界、定着物の有無等。

建物等:所在地番、延面積、構造、用途等。

②権利の態様の確認

鑑定評価の対象となる権利の存否、内容を確認資料により照合する。

i)所有権に関して

完全所有権か否か。使用貸借、賃貸借の付着の有無。所有の内容(単独、共有等)

ii)所有権以外に関して

賃借権、地上権、使用貸借等。借地借家法の適用の是非。

iii)その他

建物等の敷地の範囲。隣地から、あるいは隣地への越境等。

③都市計画法上の形態別分類の確認(市街化調整区域内の宅地の種類)

i)市街化調整区域内住宅団地

ii)旧法による既存宅地

iii)既存建物敷地

iv)線引き前宅地 等

④その他確認事項

i)用途の自己限定性の有無(分譲や賃貸の可能性の有無)

ii)用途変更の可能性とその程度

iii)土地の分割利用の可能性

iv)特定承継後の建物等建築の可能性

v)一般承継の可否及び建築の可能性

vi)更地である場合の建築可能性

vii)建物が存する場合の建築可能性

viii)人的な需要層限定の有無(農漁業従事者への限定性)

ix)権益期間(永続性の問題)

ご依頼された土地が市街化調整区域内の土地の場合、建物が建つか否かを、上記のように慎重になおかつこまめに役所等を介して慎重に調査することになります。

納得するまで調査することが大切です。

※「市街化調整区域内宅地の鑑定評価」(日本不動産鑑定協会 近畿地域連絡協議会刊)(小冊子)より引用しました。

 

関連ページ:相続税法上の時価鑑定(https://erea-office.com/appraisal/fair_valuation/)