介護付有料老人ホーム入居は小規模宅地の適用は不可!!

2019年6月5日

小規模宅地の適用について介護付有料老人ホームに入居したことにより、小規模宅地の適用を受けられないことについて争いになった事例を掲載します。

(平24.8.2大裁(諸)平24-18)

裁決要旨

請求人らは、被相続人は終身利用権方式の介護付有料老人ホーム(本件施設)に入居しているところ、当該被相続人が本件施設に入居前に居住していた家屋(本件建物)の敷地(本件宅地)は、租税特別措置法(平成21年3月法律13号改正前のもの)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》(本件特例)に規定する「居住の用に供されていた宅地等」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件特例の適用を受けることができるか否かは、相続開始の直前において被相続人が現に生活の拠点として使用していた建物であるか否かによって判断すべきであり、具体的には、被相続人の本件施設への入居目的及び日常の状況並びに本件施設の構造及び設備の状況や本件建物の状況等を総合勘案し、社会通念に照らし客観的に判断すべきところ、当該被相続人は、遅くとも本件施設に入所した頃には、本件建物に単身で居住し生活することが不可能な状態にあり、死亡するまでの間、その状態の改善は見られず、改善の見込みもなかった上、被相続人の親族等が当該被相続人と同居してその生活に必要な介護を行うことも、事実上不可能な状況にあったものと認められ、他方で、本件施設は、そこを拠点として生活を営むに足りる構造、設備及び機能等を備えたものということができる上、当該被相続人は、居住を目的とする利用契約に基づいて本件施設に入居し、生活に必要な介護サービスを受けながら死亡するまでそこに居住していたというのであり、これらのことからすると、当該被相続人の相続開始直前における生活の拠点は本件施設にあり、本件建物にはなかったといわざるを得ず、本件宅地は、本件特例に規定する、被相続人の「居住の用に供されていた宅地等」には該当しないというべきである。

関連ページ:相続税法上の時価鑑定(https://erea-office.com/appraisal/fair_valuation/)