小規模宅地等の特例(居住の用に供する)
被相続人の居住の用に供されていたが、土地区画整理事業の仮換地の指定を受けた土地が相続開始の直前には更地があった場合に居住の用に供されていた宅地に該当するかが争いになった最高裁判例がありますので掲載します。
被相続人の居住の用に供されていたが土地区画整理事業における仮換地の指定に伴い相続開始の直前には更地となっていた土地につき租税特別措置法(平成11年法律第9号による改正前のもの)69条の3所定の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用があるとされた事例
平成19年1月23日
被相続人は、従前、甲土地を現実に居住の用に供していたのであるが、福岡市の施行する土地区画整理事業のため、甲土地を含む本件土地につき仮換地の指定がされ、本件土地及び本件仮換地の使用収益が共に禁止されたことにより、仮設住宅への転居及び甲建物の取壊しを余儀なくされ、その後、本件仮換地についての使用収益開始日が定められないため本件仮換地に建物を建築することも不可能な状況のまま、被相続人が死亡し、相続が開始したというのである。
上記事情の下で、相続開始の直前においては本件土地は更地となり、本件仮換地もいまだ居住の用に供されてはいなかったものであるが、それは公共事業である本件事業における仮換地指定により両土地の使用収益が共に禁止された結果、やむを得ずそのような状況に立たされたためであるから、相続開始ないし相続税申告の時点において、B又は上告人らが本件仮換地を居住の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情のない限り、甲土地は、租税特別措置法69条の3にいう「相続の開始の直前において・・・居住の用に供されていた宅地」に当たると解するのが相当である。
関連ページ:相続税法上の時価鑑定(https://erea-office.com/appraisal/fair_valuation/)