存続期間120年の地上権の登記のある土地も、借地権割合70%が相当とした事例
存続期間120年の地上権の登記のある土地も、借地権割合70%が相当とした事例(平成4年4月20日裁決)
【要旨】
本件地上には、鉄骨鉄筋コンクリート造の堅固な建物の所有を目的とした存続期間120年の地上権が登記されていることから、請求人は自用地価額から控除されるべき割合を90%であるとしたが、
建物所有を目的とする場合は、借地法の保護のもとにあり、かつ法的保護は期間の長短による差異はないため、評価基準で定められた当該地域に適用される借地権割合70%が相当と判断された。
【審判所の判断】
請求人は、本件借地権は登記された地上権であり、その存続期間は120年でかつ譲渡、転貸は自由であること及び本件宅地上に建築されたマンションは鉄骨鉄筋造陸屋根11階建の堅固な建物であることから、他の借地権に比しはるかに権利の強固なものであるとして、相続税法上の地上権の評価方法を採用すべきと主張した。
原処分庁は、相続税法第23条では地上権の評価について規定しているが、同条のかっこ書でこの地上権から「借地法(大正10年法律第49号)に規定する借地権に該当するものを除く」旨規定していること、
本件借地権が他の借地権とは異なり強い度合いの権利であるかどうかは定かではなく、また、借地権の価額の評価を行う場合、借地権の内容を特にしん酌すべしという法令等の規定はないので、本件借地権と他の借地権とを区別して評価する必要性はないこと、評価基準に基づくその地域の借地権割合は国土庁の借地権価格調査結果からも合理的と判断されるとした。
審判所は、借地法が債券たる賃借権にも物件的な法的機能および経済的価値を付与しており、相続税の財産評価においても、両者を区別することなく借地権として統一的に評価することも実態に即して合理的なものであり、また賃借期間の長短による差異はなく、借地権割合は、状況類似地域ごとに売買実例などをもとに評価するのが合理的として借地権割合に基づく70%を相当とした。
(『法人税実務問題シリーズ 借地権』中央経済社刊 より抜粋)
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