借地権の裁決事例 使用貸借の部分と借地権の設定のない賃貸借により貸し付けられた部分の評価単位について

2019年4月26日

家使用貸借による部分と借地権の設定のない賃貸借により貸し付けられた部分の評価単位について争いになった事例のご紹介です。

平成9年2月27日裁決(関裁・非公開)

 

使用貸借による部分(A)と借地権の設定のない賃貸借により貸し付けられた部分(B)から構成される土地について、AとBを一画地として評価すべきか否かについて争いになった事例で、審判所は下記のように結論づけました。

 

審判所の判断
請求人は、本件土地(地積合計1,373㎡)は、被相続人が使用貸借により貸し付けていた部分と借地権の設定のない賃貸借により貸し付けていた部分で構成されていた土地であるから、その全体を一区画の自用地としてその評価額に面積広大地補正を適用して評価すべきである旨主張する。しかしながら、本件土地は、使用貸借により同族会社に貸し付けていた部分と、賃借権が付された賃貸借により貸し付けていた部分の別に評価すべきであり、また、面積広大地補正の趣旨に照らすと、本件土地についてはその適用の必要性は認められない。(平9.2.27関裁(諸)平8-62)

※面積広大地補正については、単に面積の大小のみを基準とすることなく、公共公益的施設用地が必要か否かを検討しています。

 

国税庁のHPより引用 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4603.htm

宅地の価額は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)ごとに評価しますが、具体的には、次のように判定します。
なお、相続、遺贈又は贈与により取得した宅地については、原則として、取得者が取得した宅地ごとに判定しますが、宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とします。

  1. 所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体を1画地の宅地とします。
  2. 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を自己が使用している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とします。一部を貸家の敷地、他の部分を自己が使用している場合にも同様とします。
  3. 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を貸家の敷地の用に供している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とします。
  4. 借地権の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地とします。
  5. 貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地をいいます。)を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とします。
  6. 2以上の者から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合には、その借主の借地権の評価に当たっては、その全体を1画地として評価します。この場合、貸主側の貸宅地の評価に当たっては、各貸主の所有する部分ごとに区分して、それぞれを1画地の宅地として評価します。
  7. 共同ビルの敷地の用に供されている宅地は、その全体を1画地の宅地として評価します。
    例えば、次図のような場合には、A、B、C及びD土地全体を1画地の宅地として評価した価額に、甲、乙、丙及び丁の有するそれぞれの土地の価額の比を乗じた金額により評価します。この場合、土地の価額の比は次の算式によって計算して差し支えありません。4603-014603-02

     

  8. 所有する宅地の一部を自己が使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、その全体を1画地の宅地として評価します。また、自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、所有する土地のみを1画地の宅地として評価します。

     したがって、次図の[1]については、A、B土地全体を1画地の宅地として評価し、[2]については、A土地、B土地それぞれを1画地の宅地として評価します。

     なお、使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱い、使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価します。4603-03 

(評基通7-2、昭48直資2-189 外)