立退き料を認定した判例

2019年4月25日

建物の朽廃により建物の明渡しを求めた事例がありましたので掲載します。立退き料

 

貸室業等を営むXが、釣り具用品の販売等を営むYに対し、建物の朽廃又は解約申入れによる建物賃貸借契約終了に基づき明渡しを求めた事案につき、直ちに建物が朽廃しているとは認められないが、立退料の提供により解約申入れに正当事由が具備されるとした事例

東京地判平26・12・19(平25(ワ)8221)

本件は、台東区昭和通りに面したビルの一部を釣り具販売店店舗として使用しているYに対し、Xが建物の朽廃又は解約申入れによる建物賃貸借契約終了に基づき明渡しを求めた事案である。

本判決は、本件建物につき、築43年の古い建物であり、耐震性が法令上の基準を下回っており、台東区長から二度にわたり耐震改修等の実施の勧告及び指導を受けていたとしても、耐震改修の実施は努力義務であり、耐震改修を実施しなくとも直ちに使用が不可能になるわけではないので、直ちに朽廃しているとは認められないとしつつ、上記事情等に加えて立退料の提供によりXからの解約申入れに正当事由が認められると判断した。

立退料の算定については、本件建物の経済的残存年数が約2年であり、耐震性能不足を考慮すれば、衡平の見地から、Yの損失をXだけに負担させるのは相当でないとしたこと、借家権価格及び移転補償額のうち、Yが実際に負担する現実の支出をより補填できる移転補償額を採用したことに特徴がある。

立退料
申出額:1000万円
認定額:3237万3000円

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Posted by koba