1階喫茶店、立退料の提供で正当事由が備わった事例(判例)

2019年5月15日

本件建物1階で喫茶店を経営しているYに対するXの解約申入れにつき、築35年で老朽化が目立ち、同種競合物件と比較して品質の劣る本件建物の建替えの必要性を認め、立退料の提供により正当事由が具備されるとした事例

東京地判平26・11・12(平25(ワ)19197)

本件は、本件建物1階で喫茶店を経営するYに対し、Xが本件建物の建替えを理由として解約の申入れをしたとこ立退き料の提供で正当事由が備わった事例ろ、300万円の立退料の提供により正当事由を認めた事案である。

本判決は、本件建物は同種競合物件と比較して品質等が相当劣り、今後も使用収益を続けるには相応の修繕費が発生すると見込まれること、具体的な建替計画があることなどから、Xの本件建物使用の必要性を認めた。

他方で本件建物の1階で喫茶店を経営するYの建物使用の必要性も全くないわけではないが、近隣に代替物件は複数存在し、相当額の立退料の支払によりYの経済的損失を償うことができることから、300万円の立退料の提供により正当事由を具備するものと判示した。

立退料額の判断に当たっては、Yの借家権の価格は24万円が相当であると認められること、本件建物でのYの喫茶店経営による所得は、一昨年が約149万円、昨年は約58万円であることなどの事情が考慮されている。

また、Yは、Y以外にも明渡しに応じない賃借人がいることから、XがYから明渡しを受ける必要性はないことを主張したが、本判決は、本件解約申入れから6か月を経過するまでの間に本件建物を取り壊すことができない場合であっても、その後に同建物を取り壊すことが可能となる場合には、本件解約申入れから6か月を経過するまでの間に明渡しを受ける必要性を否定することはできないとした。

 

立退料

申出額 300万円又は裁判所が相当と認める額
認定額 300万円

 


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Posted by koba