本件宅地,借地,畑は一体で評価すべきか否かが争われた事例
本件宅地,借地,畑は一体で評価すべきか否かが争われた事例
(大裁(諸)平23第11号・平成23年10月3日裁決)
本件土地の概要
本件土地(963.72㎡)は,現況畑(間口:1.40m,奥行:65.00m)で,小規模の住宅が立ち並ぶ市街化区域内の土地である。
請求人の主張
本件土地等の評価単位については,本件宅地と本件借地権は利用状況が全く異なっており,鑑定書のとおり,本件宅地と本件畑は現況畑等であるが,生産緑地の指定がなく,住宅地域に存するほぼ平坦地であるので,接続する1画地の造成前宅地として評価する。
原処分庁の主張
本件土地等の評価単位については,本件宅地と本件畑の利用状況が異なることから別画地として評価すべきであり,本件宅地と本件借地権とは地目が異なるものの一体として利用されている一団の土地(1画地)として評価する。
審判所の判断
請求人は,本件借地と本件宅地は利用状況が全く異なっており,鑑定書のとおり,本件宅地と本件畑は現況が畑などであるが,生産緑地の指定がなく,住宅地域に存するほぼ平坦地であるので,接続する1画地の造成前宅地として評価する旨主張する。
しかしながら,評価通達7および同通達7-2によれば,土地の価額は、地目の別に評価し,宅地は利用の単位となっている1区画(1画地)の宅地ごとに,市街地農地は利用の単位となっている1団の農地ごとに評価することとされており,上記通達の定めは相続税法が規定する時価の評価方法として合理的なものと認められるところ,本件土地等の利用状況からすると,本件家屋1,本件家屋2および本件構築物が存在するそれらの敷地,すなわち,本件借地と本件宅地とは1区画として利用されているということができるから,本件土地等の評価単位は,本件借地と本件宅地を1画地の宅地とし,本件畑を1画地として,それぞれ区分して評価することが相当である。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
コメント
審判所は,宅地および本件借地を1画地,本件畑を1画地としてそれぞれ区分して評価することが相当であると判断した。
評価通達7-2によれば,宅地は1画地の宅地を評価単位とし,田および畑は1枚の農地を評価単位とするとある。
本件宅地と本件借地は,本件家屋等が存在する敷地として1区画として利用されていると判断されるので,本件土地等の評価単位は,本件借地と本件宅地を1画地の宅地として,本件畑を1画地としてそれぞれ区分して評価するのが相当である,と審判所は判断し、現況がどのように利用されているのかは大事なことであるので現場確認は重要である。