路地状開発が周囲に存するも、広大地に該当するとした事例

2019年4月26日

路地状開発の事例が周囲にあっても、広大地に該当するとした審判事例です。

原処分庁は、本件土地が属する財産評価基本通達24-4≪広大地の評価≫(本件通達)に定める「その地域」(本件地域)の標準的な宅地の地積に基づき区画割をすると、本件土地は4区画に分割して路地状開発することが可能であること、路地状開発を行うとした場合は、路地状部分の土地は、通路に限らず駐車場として利用でき、建ぺい率・容積率の算定上道路を開設するよりも有利な点があること、また、本件地域に路地状開発の事例もあることから、路地状開発による開発が経済的に最も合理的な開発であるとして、本件土地は本件通達に定める広大地に当たらない旨、主張する。

 

しかしながら、原処分庁の主張する本件地域の標準的な宅地の地積の算定は誤っており、正しい地積に基づき区画割をすると本件土地は4区画又は5区画に分割して開発するのが経済的に合理的であると認められる。

公共公益的施設用地また、本件地域においては、路地状開発による事例もみられるものの、当該事例は道路の開設による開発がもとより困難な土地の事例であり、本件土地とは条件を異にする。

他方、本件地域において本件土地の形状及び公道との接続状況及び面積等並びに本件地域における近年の土地の開発状況等からすれば、本件土地については、道路を開設して戸建て住宅の敷地として分譲開発するのが経済的に最も合理的な開発方法であると認められる。したがって、本件土地は、本件通達に定める広大地として評価するのが相当である。(平23・5・9東裁(諸)平22-198)

『ケース・スタディ相続財産評価マニュアル』(新日本法規)より転記

※本件土地の形状、公道との接続状況等により、路地状開発が難しいケースは公共公益的施設用地(道路)の開設を行うことで、開発をすることがベターな場合は、広大地に該当します。