合理的と言える広大地に該当するとした事例
標準的画地で区割りを行えば開発道路は必要であり、かつまた経済的に最も合理的と言えるので広大地に該当するとした事例
(沖縄・公開 平成18年5月8日裁決)
本件土地の概要
(1)土地B
土地Bの地積は821.00㎡の土地である。
土地Bは不整形な土地である。
審判所の判断
(1)土地B
①認定事実
土地Bは不整形な土地である。区画数を4とする場合の開発想定図は別紙11のとおりであり、1区画当たりの地積は約190㎡、開発区域内道路の地積は60.06㎡である。
②評価額
(イ)広大地補正率について
原処分庁は、土地Bを3区画として開発する場合は既存の道路に接する2区画を除く1区画は路地状敷地でも接道義務を満たすこととなり、この場合の路地状敷地は道路ではないため公共公益的施設用地は生じないから広大地には該当しない旨主張するが、原処分庁の開発想定図によれば、1区画当たりの地積は約270㎡であり、開発指導要綱2の(2)イに照らすと標準以上の地積を有し区画数は3と少ないことから、経済的に最も合理的とはいえないため、土地Bを3区画として開発行為を行うことは相当ではなく、原処分庁の主張には理由がない。
また、請求人は、土地Bを5区画として開発する場合は公共公益的施設用地165.00㎡が必要となるから広大地補正率は0.80である旨主張するが、K県は1区画当たりの地積を135㎡以上とするよう指導していたところ、請求人の開発想定図によれば、1区画当たりの地積が135平方メートルに満たない区画が存することとなる。
そこで、土地Bを4区画として開発行為を行なえばすべての区画が135㎡以上となる。
この場合、既存の道路に接しない2区画は間口距離4mの路地状敷地を設置すれば接道義務を満たすこととなるが、建築基準法第42条《道路の定義》第1項第5号の規定による位置指定を受けた道路とする方が、同法第44条第1項《道路内の建築制限》の規定により建築物等を道路内に建築等することが禁止されること、および路面を砂利敷以上のぬかるみとならない構造とし、排水に必要な側溝及び2mのすみ切りを設置することにより、有効宅地の価値は高まるものと認められる。
よって、土地Bに開発行為を行う場合は公共公益的施設用地が必要となるため土地Bは広大地に該当することとなり、開発区域内道路の地積は60.06㎡となる。
これを基に広大地補正率を求めると、別表5の注11のとおり0.93となる。
(ロ)土地Bの評価額は、上記Aにより計算すると、別表5の「土地9」欄のとおり75,360,411円となる。
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コメント
≪土地Bについて≫
本件においては、原処分庁は、土地Bを3区画(1区画地積約270㎡)で1区画路地状開発をするか、又は請求人は土地Bを5区画とするかが争われた結果、審判所は土地Bをその地域の標準的画地の面積で区割りすれば、4区画(1区画135㎡以上)となり有効宅地の価値は高まるので、広大地に該当するとしました。
本件は、不整形な土地においても土地の区画数を確保し、なおかつ経済的に最も合理的と言えるか否かが争われた事例でした。
●開発行為とは、主として、建築物の建築または特定工作物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更のことをいいます。
●土地の区画形質の変更は、次の3つに区分されます。
① 区画の変更:道路・水路などの新設、変更、または廃止することをいいます。
② 形(形状)の変更:造成により切土、盛土または切盛土をすることをいいます。
③ 質の変更:山林、農地等の土地を宅地にすることをいいます。
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)