府道沿いの都市計画道路予定地が広大地になった場合
中小規模一般住宅、店舗、事務所、マンション、駐車場等が混在する路線商業地域内にあり、高層マンションが建ち並ぶ高度利用地区に隣接する、府道沿いの土地が広大地として認められた事例です(図)。
相談時には、月極駐車場として利用されていました。
❖物件の概要
面積:561㎡(間口:約33m、奥行:約32m)
地形:不整形(L字型)の平坦な土地
用途地域:第2種中高層住居専用地域(60%、200%)
駅への距離:3.6km(道路距離)
周辺の利用状況:中小規模一般住宅・店舗・事務所・共同住宅・駐車場等が混在する商業地域
土地の利用状況:月極駐車場
❖考察
住宅地区等に所在する土地で、○市が定める開発許可を要する面積基準(500㎡)以上のものは、原則として著しく地積が広大であると判定されます。そこで、地域の標準的な宅地の面積を調査した結果、評価対象地の地積は著しく広大であることが認められました。
評価対象地の南側隣接地は高度利用地区に該当します。そのため容積率200% であるにもかかわらず、高層マンションが林立していました。
しかし、それら高層マンションは築年数が古く、また10年以内に建築されたマンションはなく、開発事例は戸建住宅のみでした。
また、周辺地域の建築時期を時系列的に分析してみたところ、その地域はマンションが多く建てられた時期があったものの、平成のバブル期を境にマンション建築数は減少傾向にあったうえ、数年前のリーマンショックおよび景気の低迷とともに大規模な土地(500 ㎡以上)はほとんど建売住宅の開発となっていました。
著しく広大であること、そして周辺の利用状況を説明することで、広大地として認められました。
広大地として認められたポイントはここにある!
①南側隣接地の高度利用地区には高層マンションが多く林立しているものの、築年数が古く、ここ10年以内に建築された事例は皆無であり、開発事例は戸建住宅のみであったこと。
②駅からバス便で約 25分という位置に存するため、マンション業者が進出してこないこと。
③評価対象地周辺の建物の建築された時期の推移を時系列的に分析し、マンション、店舗等が建ち並んでいないこと。すなわち戸建住宅へ移行しつつあることを、事例をもって説明できたこと。
高度利用地区・・・ 市街地において土地の合理的な高度利用と都市機能の更新を図る必要のある地区のことです。 |
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)