更正の請求という方法を検討する

2019年6月12日

更正の請求という方法を検討する

広大地を適用し、期限内申告(以下、「当初申告」)するとしても、広大地として認められるという保証はどこにもありません。当然ながら、税務署から否認されることもあります。税務署から否認されないためには、不動産鑑定士等の専門家に広大地判定の意見書を作成してもらい、当初申告の際に添付することです。

ただし、何が何でも意見書を添付しなければならないというわけではありません。他にも方法はあります。それは、通常の宅地として課税価格を計算して申告納税した後で、相続税に関して更正の請求を行うという方法です。

更正の請求は、平成23年11月の国税通則法の改正で、請求の期間が1年から5年に延長されました。
つまり、その間に税務調査があるか否か、または税務調査で否認されそうであれば、更正の請求をして広大地の適用を主張すればよいのです。

私が担当した事例で、税務調査中に広大地が否認されそうになったことから、その最中に短期間で広大地の調査を行い広大地判定の意見書を提出したところ、1週間で広大地O Kとなったことがあります。
また、当初申告後、相続した評価対象地を公共公益的施設用地の発生する戸建住宅用地とする計画であることを建売業者に確認してから更正の請求をし、広大地の適用を受けて相続税の還付を受けることもできます。

ポイントは、戸建住宅用地として開発分譲してから更正の請求を行うことにあります。
なぜならば、相続人が相続した土地をマンション業者に売却し、マンションが建築されていることを理由に、広大地評価が適用されなかったという事例が数多くあるからです。
次の審判事例① ~②は、いずれもマンションが建築されていることから、税務署はマンション適地であると判断しています。

審判事例①

平成24 年7 月4日裁決

本件○土地に7階建のマンションが建築されたことは、本件相続開始日時点においても、本件土地がマンション適地等であったという判断が正しいことを裏付けるものである。

審判事例②

東裁(諸)平17 第42 号・平成17 年9 月16日裁決

本件○土地を本件相続開始日後に○に売却し、その後、同土地上には、地上5階建てのマンション(中略)が建築されている。

これらの審判事例から、無理な申告、評価対象地周辺の利用状況、相続発生後の評価対象地の利用方法によっては、広大地が否認されることもあることがわかります。
相続税の申告には、更正の請求もあるということを理解すべきです。

また、当初申告すなわち期限内申告の場合、広大地の適用を否認するには、税務署側に否認の論拠が必要になりますが、更正の請求の場合には、納税者側に広大地であることの根拠を説明する必要があります。このことには、よく注意してください。

私が関与した過去の事例からしても、きちんと調査して広大地として適用される可能性のあるものは、広大地としてほぼ100% 適用されています。ですので、まずは評価対象地と向き合い、広大地になるか否かを判断すべきです。なぜならば、当初申告をしているのであれば、後は失うものはなく、信ずるところにしたがって広大地の更正の請求をすれば良いからです。

当初申告は通常の宅地として広大地を適用せず申告納税し、相続対策として賃貸マンション(3階建)を建てた後で広大地判定の意見書を添付して更正の請求をしたら、それが認められたという事例もあります。

いろいろなケースがありますので、あきらめずに、評価対象地を見直してみましょう。

 

関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/