借地非訟事件と借地条件変更

2019年4月25日

借地条件変更の裁判(借地非訟事件)における判断要素についての記事がありましたので掲載します。借地非訟事件と借地条件変更

貸主との協議が調わない場合には、借地条件変更の裁判を得る必要があります。
そして、借地条件の変更が認められるのは、「法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更」があり条件変更が相当である場合です(借地借家17①)。

ここでの事情とは原則的には客観的事情に限られると解されるため、借地周辺の客観的事情が重要な判断要素となります。

1.事情変更による借地条件変更の相当性

裁判所が借地条件を変更することができるのは、「法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当である」場合です(借地借家17)。

「法令による土地利用の規制の変更」とは、都市計画法による防火地域又は準防火地域の指定(都計8①五)に伴う建築規制(建基61以下)の変更が主な例ですが、都市計画法による用途地域、景観地区、風致地区等の指定やその変更(都計8①一・六・七)、も該当し得ると思われます。

「付近の土地の利用状況の変化」とは、目的土地の付近において、高層ビルの建築がなされているとか、工場地域から商業地域になったという変化が考えられます。

さらに、ここでの「事情」とは、客観的な事情に限定されるという。考え方が一般的ですが、主観的事情を含むことも許容されると解する考え方もあります。

2.裁判所が考慮すべき事情

裁判所は、「借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情」を考慮しなければなりません(借地借家17④)。

「借地権の残存期間」が短いことは、一般的には条件変更を認めない方向に働く要因と解されています。しかし、借地契約は、更新を拒むための正当事由は容易には認められず、事実上更新されることが多いですので(借地借家5・6)、期間の延長を含む条件変更を認めても貸主への不利益が必ずしも大きいとはいえないことから、借地権の残存期間の短いことは、条件変更を認めない要因としては大きなものであると解することはできないでしょう。

「土地の状況」とは、土地の広さや形状等の目的土地に関する個別事情です。

「借地に関する従前の経過」とは、借地権設定の経緯、経過した契約期間、更新料授受の有無、目的土地の利用状況とその推移等、借地に関する従前の事実関係を指します。

「その他一切の事情」とは、条件変更の必要性の有無、程度、条件変更をした場合の両当事者の利益等、一切の事情を指します。

3.付随的裁判

裁判所は、条件変更申立てを認容する場合、当事者間の利益の衡平を図る必要があるとき、条件変更の決定に付随して、「他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分」ができます(借地借家17③)。

付随的裁判において、財産上の給付の裁判を申立認容の主文から独立した主文とすることも可能ですが、条件変更申立事件においては認容の効力発生を財産上の給付に係らせる方法を採ることが多いようです。

旧借地法における非堅固建物所有目的から堅固建物所有目的への変更の際には、目的土地の価格の10%相当額を借主が貸主に支払うことを裁判の条件とすることが通例です。
また、借地権の存続期間を上記条件変更の効力が生じた日から30年に延長することも同様です。さらに、非堅固建物所有目的よりも堅固建物所有目的である場合の方が土地の利用効率が上がることから、地代が高いことも多いので、上記条件変更の効力が生じた日からの地代等の一定の増額を命じることが多いようです。

借地上の建物をめぐる実務と事例(新日本法規出版)より引用しました。

 

不動産鑑定・底地・借地権のコンサルについて

他で断られた方、納得いく回答が得られなかった方、今すぐお電話ください!

無料相談承っております!

お問い合わせはこちらをクリック!
問い合わせ先バナー