本件土地は、マンション適地等に該当するから、広大地には該当しない!!
関東信越の国税不服審判所の裁決事例によれば、
請求人(納税者)及び原処分庁(税務署)は、
本件土地は戸建住宅分譲用の土地であって開発道路を設けるべきか
路地状開発を行うべきかと争っていましたが、
同審判所はマンション適地であるから、広大地には該当しないと判断しました。
その要旨は下記の通りです。
(関東信越・公開 平成19年7月9日)
(3)判断
請求人ら及び原処分庁は、本件土地が本件通達に定める広大地に該当するか否かについて、
広大地から除かれるマンション適地等には当たらないとして、
上記のとおり、戸建分譲に係る公共公益的施設用地の負担の必要性について主張する。
しかしながら、上記の認定事実等に基づき判断すると、次のとおりである。
イ 本件地域は、①幹線道路であるS通りの沿道であることから、規模に制限のない店舗等を許容する第二種住居地域に指定され、
その結果、幹線道路の交通量を勘案して、沿道の後背地にある主に第一種中高層住居専用地域の住環境を保護する効果をもたらしている地域であり、
また、②P市プランにおいて、商業・文化機能等を強化した建築物の誘導等を推進する地域にあり、
R駅前商業地域に隣接して、極めて交通の便も良く、中高層の集合住宅等のほか大規模な店舗や事務所の建築に適した地域で、
③現に、戸建住宅のほか、アパート、マンション、店舗併用集合住宅などの中高層の集合住宅及び事務所、大規模な店舗などの商業施設が混在し、
④加えて、建築物の建築をするために開発許可が必要となる地積500平方メートル以上の土地に係る建築物の建築状況をみると、集合住宅等や商業施設などが建築されている状況にあり、
特に、本件土地とS通りを挟んで南側に位置する本件土地と規模、形状、接道状況が酷似する土地には、7階建ての分譲マンションが建築されていることなどから、
本件土地は、社会的・経済的・行政的見地から総合的にみても、マンション適地等に該当するものと認められる。
したがって、本件通達に定める広大地には当たらない。
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コメント
本件においては、請求人ら及び原処分庁共にその地域における最有効使用は戸建住宅分譲であって、宅地分譲する場合に開発道路を設けるか、路地状開発を行うか、二者択一の論理を展開していますが、
審判所は、マンション適地であると判断しました。
審判所はその地域を『本件地域は、幹線道路であるS通りの沿道である…現に、戸建住宅の他アパート・マンション、店舗併用集合住宅などの中高層住宅及び事務所・大規模な店舗などの商業施設が混在し…』とし、『本件土地はマンション適地等に該当する』としました。その決め手は、
①本件地域は、幹線道路であるS通りの沿道であること
②本件地域はR駅前商業地域に隣接して、極めて交通の便も良く、アパート・マンション、店舗併用集合住宅などの中高層の集合住宅及び事務所、大規模な店舗などの商業施設が混在すること
③本件土地とS通りを挟んで南側に位置する本件土地と規模・形状・接道状況が酷似する土地には、7階建の分譲マンションが建築されていること
等です。
その地域のとり方をどうとるかによって、大きく結論が異なることを本件事案は証明しているかもしれません。