相続税法上の土地の評価と物件の調査の仕方について
1.土地の評価
(1)財産基本通達
相続財産の価額は、それぞれの財産の現況に即して評価することになっていますので、相続人ごと又は現況の利用形態に応じて評価単位を区分することになります。
(2)評価通達7(土地の評価上の区分)は、土地の価額は、地目(宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地)の別に評価する旨定めています。又そのただし書では、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価する、と定めています。
評価単位のとり方によって評価額に大きく影響を与えるので、相続発生日の状況を把握することが大切です。
(3)宅地の評価については、1画地の宅地ごとに評価する旨定められています。そして、1画地とは、その宅地の利用の単位となっている宅地をいうものと解されています。
(4)評価単位
さらに評価基本通達7-2(評価単位)は、土地の価額は、評価単位ごとに評価する旨定めていて、宅地は、利用の単位となっている1画地の宅地を評価単位とし、雑種地は、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地をいう)を評価単位とする旨定めています。
2.土地の調査
(1)土地の利用状況の現場確認等
①土地の調査をするにあたり、事前に依頼者から当該土地がどのようになっているか否か、どのような用途に使われているかを事前確認しておくと現地調査で対象物件を間違うリスクが減ります。
②依頼者から頂いた資料、法務局、市役所・ネット等で収集した資料を見て、机上にて分かりにくい所等があれば事前にリストアップし、現地で資料と照合する。不明なところを解消するようにする。不確実なところがあれば再度法務局・市役所等で資料を入手し、現地確認を完璧にこなしていく。
(2)宅地の調査
①基礎資料
対象地・所在地・筆数等の確認を行う。
土地登記事項証明書(法務局) |
建物の登記事項証明書(法務局) |
公図(法務局) |
地積測量図(法務局 |
地番図(市役所) |
建物図面・各階平面図 |
固定資産税納税通知書・名寄帳 |
②所在確認資料
基礎資料に基づき、所在等の確認資料を入手する
住宅地図 | 注1 |
ブルーマップ | 法務局備付 |
グーグルマップ | 注2 |
路線価図 |
注1:ゼンリン住宅地図プリントサービスを利用すれば全国の住宅地図を安易にかつ迅速に入手できる。
注2:グーグルマップを活用すれば、現地を事前にネットで確認できる。
③市役所にて入手すべき資料・確認すべき事項
市役所で回る順序については前『(5)役所調査の大切さ※役所で回る順序について』、のように回るようにして下さい。効率がいいと思います。
1)都市計画…都市計画課等
用途地域…容積率2以上にまたがれば減額
都市計画道路…都市計画道路予定地による減額
2-1)道路…建築指導課
セットバック…建築基準法第42条第2項道路による減額
無道路地…建築基準法上の道路か否かによる減額
道路幅員…道路幅員による容積率の制限による減額
2-2)下水・水道・水路…上下水道課・河川課
上水…水道管敷設図等により上水が道路の埋設管から敷地内に敷設されているか確認。私設の水道か否かも確認
下水…汚れは①公共下水、②浄化槽(個別・集中)③汲み取りか否かの確認
雑排水は①公共下水、②浄化槽、③側溝直流放流か否かの確認
下水道管理者から排水関係の図面の交付を受ける
ガス…都市ガス又はプロパンガスの確認
ガス管の埋設状況は都市ガス会社より交付を受ける
水路…河川課等
公図、現場写真、住宅地図等を基に管理者に確認、現況が全く水が流れていなくても水路となる場合あり。
3)建築…建築指導課等
イ.道路調査する土地上に建物が建築できるか否かは、前面道路が建築基準法上の道路か否かによるので、前面道路の道路はいかなる道路であるかは重要である。
前面道路は以下の3つに分類される。
・建築基準法上の道路
・法外道路(建築基準法上の道路でない)
・建築基準法上未判定道路
なお建築基準法上の道路は下記のように区分される。
建築基準法 | 通称名 | 備考 |
42条第1項 第1号 |
道路法による道路 (1号道路) |
国道、都道府県道、市区町村道で幅員4m以上のもの(場合により6m以上もあり) |
42条第1項 第2号 | 2号道路 | 都市計画法・土地区画整理法、都市再開発法等によって築造された幅員4m以上のもの(場合により6m以上もあり) |
42条第1項 第3号 | 既存道路 | 建築基準法の施行日(昭和25年11月23日)現在、既に存在している道で、公道・私道を問わない。(場合により6m以上もあり) |
42条第1項 第4号 | 計画道路 | 都市計画法、道路法等により2年以内に事業が執行される予定で、特定行政庁が指定したものをいう(場合により6m以上もあり) |
42条第1項 第5号 | 位置指定道路 | 特定行政庁が道路位置の指定をした幅員4m以上の私道で、一般の個人や法人が築造した私道をいう。(場合により6m以上もあり) |
42条第1項 第2号 | 2項道路(みなし道路) | 建築基準法の施行日(昭和25年11月23日)現在既に建築物が建ち並んでいた幅員4m未満の道路で特定行政庁が指定したものをいう。 |
※42条第3項~42条6項は省略 |
※「建築基準法第42条第1項ただし書」について
建築基準法第43条により、敷地は建築基準法上の道路に2m以上接しなければなりません。
ただし、敷地の周囲に広い空地を有する建築物、その他建設省令で定める基準に適合する建築物で、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものについて、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可(43条但書き許可)した場合には、敷地の接道義務を緩和し、建築物を建築することができます。
※建築審査会とは、建築主事を置く市町村と都道府県に設置され、特定行政庁が許可を与える場合の同意や審査請求に対する裁決、特定行政庁の諮問事項の調査審議等を行う(78条)
『建築審査会の同意が必要とされる内容は、文化財などについての建築基準法の適用除外、幅員の狭い道の道路指定、道路内における建築許可、壁面線の指定、用途地域・容積率・第1種および第2種低層住居専用地域内の高さ制限・日影規制、高度利用地区などによる建築制限に対する例外的許可である。
建築審査会は都道府県および建築主事(権限が限定されているものは除く)を置く市町村に置かれる。委員は5人または7人で組織され、法律、経済、建築、都市計画、公衆衛生または行政に関する学識経験者などのなかから都道府県および建築主事を置く市町村により任命される。』
(日本大百科全書より)
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