土地の譲渡・転貸での注意事項

2019年4月12日

そのような行為は自らその借地権を放棄したことになるという判例がありましたので掲載します。

【借地上の建物賃貸は土地賃借権の無断譲渡ではなく、かつ、土地賃貸借契約の合意解約は建物賃借人に対抗できないとした事例】

最判昭38・2・21(民集17・1・219)

本件借地契約は、調停により土地賃貸人と土地賃借人との合意によって解除され消滅に至ったものではあるが、原判決によれば、土地賃借人は借地の上に建物を所有しており、昭和30年3月からは、建物賃借人がこれを賃借して同建物に居住し、家具製造業を営んで今日に至っているというのであるから、かかる場合においては、たとえ土地賃貸人と土地賃借人との間で、借地契約を合意解除し、これを消滅せしめても、特段の事情がない限りは、土地賃貸人は、合意解除の効果を建物賃借人に対抗し得ないものと解するのが相当である。

土地の譲渡・転貸

なぜなら、土地賃貸人と建物賃借人との間には直接に契約上の法律関係がないにせよ、建物所有を目的とする土地の賃貸借においては、土地賃貸人は、土地賃借人がその借地上の建物を建築所有して自らこれに居住することばかりでなく、反対の特約がない限りは、他にこれを賃貸し、土地賃貸人をしてその敷地を占有しようとせしめることをも当然に予想し、かつ認容しているものとみるべきであるから、建物賃借人は、当該建物の使用に必要な範囲において、その敷地の使用収益をなす権利を有するとともに、この権利を土地賃貸人に対し主張し得るものというべく、この権利は土地賃借人がその有する借地権を放棄することによって勝手に消滅せしめ得ないものと解するのを相当とするところ、土地賃貸人とその賃借人との合意をもって賃貸借契約を解除した本件のような場合には、賃借人において自らその借地権を放棄したことになるのであるから、これをもって第三者たる建物賃借人に対抗し得ないものと解すべきであり、このことは民法398条、538条の法理からも推理することができるし、信義誠実の原則に照らしても当然のことだからである。

借地借家紛争解決の手引(新日本法規出版)より引用しました。