賃料の鑑定依頼

2019年4月26日

賃料賃料増減額請求をなすためには、従前の合意賃料がその後の経済事情の変動等の事情の変更により不相当となっていることが必要です。

不相当性を判断するための要素は、条文では、

(1)土地建物に対する租税その他の負担の増減
(2)土地建物の価格の上昇低下その他の経済事情の変動
(3)近傍類似の建物の賃料との比較

があげられているところ、さらに、これらに限られず、

(4)その他の事情

もあわせて総合的に考慮され、賃料が不相当であるかどうか判断されます。

(1)、(2)、(3)に掲げられた要素は、例示です(東京地判平21.6.12)。

賃料の額と相場賃料に差があるとしても、そのことをもってただちに賃料増減請求権を行使し得るものではありません(東京地判平20.1.23)、賃料を決める際に、同じビルやマンションの中のほかの区画の賃料と比較されることもありますが、専らほかの区画の間の賃料との不均衡だけを根拠とする賃料増額請求には理由がないとされています(東京地判平19.7.26甲)。

賃料の不相当性については、現行賃料額が適正賃料額から「著しく」乖離している場合にだけ増減額請求が認められるべきであるか否かという問題もありますが、東京地判平19.7.26乙では、賃貸人が、鑑定においても現行賃料の約3.3%しか下落しておらず、賃料減額請求を認めるべきではないと主張したのに対し、賃料の著しい変動がある場合にのみ増減額請求できるものではないとして、この主張は採用されませんでした。

上記の内容は『借地借家法の解説』(住宅新報社刊)より転記しました

賃料の不相当については、最終的に裁判所の判断を仰ぐことになりますが、その賃料の相当性、不相当性の判断材料は不動産鑑定士の鑑定書が大きなウェートを占めています。

したがって、賃料の相当性、不相当性の説明をするには、対象不動産の賃料評価を不動産鑑定士に依頼することになりますが、誠実で手慣れている誠実な不動産鑑定士に仕事を依頼するようにしましょう。