適正な継続賃料の算出方法はどれが適正か!

2019年4月26日

テナントビル差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法及び収益還元価格を求めるうえで必要な適正な地代を算出する方法を用いて算出した金額の中間値を相当賃料額とした事例(東京地裁平成19年2月26日判決)

●原告(土地の賃借人)の主張
相当賃料は、平成9年の裁判上の和解により合意した額の半額である月額13万8650円である。

●被告(土地の賃貸人)の主張
本件土地の立地条件や利用状況に照らせば、その適正地代の算定に当たっては、土地上のビルの賃料収入に関する賃料に基づきいわゆる土地残余法(土地の収益還元価格を求めるうえで必要な適正地代の額を算出する方法)によるべきである。

●裁判所の判断
Xが主張する差額配分法、利回り法、スライド法及び賃貸事例比較法を用いて算出した金額と、Yが主張する収益還元価格を求めるうえで必要な適正な地代を算出する方法を用いで算出した金額をそれぞれ列挙し、その中間値を相当賃料額とした。
なお、各鑑定方法について、妥当性に疑問があったり、客観的に妥当な手法として確立していなかったり、より適切な比較事例があるにもかかわらずそれを採用していなかったりする等の側面が仮に認められるとしても、それは見解や意見の相違に基づくものと認められる範囲内のものであり、鑑定全体の不当性を導くものではないし、収益物件に関する適正賃料の算定に当たって収益アプローチを加味することは有意義であるなどとして、Xの批判は当たらないとした。

「借地借家紛争事例データーファイル」(新日本法規)より

※本件は平成5年に本件土地上に賃借人がビルを建設し、居酒屋、風俗店等に賃貸して賃貸収入を上げている事案です。

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