4 階建マンションと広大地評価判定

2019年6月12日

隣接地に3 階建と4 階建マンションが建つ土地が広大地として認められたケース

評価対象地は一級河川と二級河川に挟まれた細長い不整形の土地で、敷地の奥深くが急傾斜地(敷地の42%程度)になっています。(図表3-12)。

また、北側隣接地には3階建マンション(共同住宅)と4階建マンション(共同住宅)が建っています。

評価対象地とその周囲を調査した結果、広大地が可能と判断、更正の請求をしました。

すると広大地として認められ、相続税還付がされました。
広大地に該当するとした事例の画像

 

❖物件の概要

面積:1,658.25㎡(間口:約32m、奥行:約75m)

地形:不整形

接道:4~5.2m市道

用途地域:第1種低層住居専用地域(60%、150%)

周辺の利用状況:中小規模一般住宅・共同住宅・文化住宅・駐車場等が混在する地域

土地の利用状況:居宅

 

❖考察

評価対象地周辺のその地域において建築された建物の状況は下記の通りです、

開発事例(共同住宅):2件(昭和51年、平成15年)
開発事例(戸建住宅):3件(平成13年、平成18年、平成21年)

上記から、その地域は共同住宅から戸建住宅へと移行しつつあると説明できます。

また、「○○市まちづくり推進条例に基づく建設行為基準の概要」によって、第1種低層住居専用地域における最低区画面積は150㎡と判断しました。そこで、150㎡を基準に最有効使用の宅地分割を想定した土地利用計画図を作成したところ、開発道路等の公共公益的施設用地の負担が生じることがわかりました(図表3-12)。これらのことを意見書に記載・提出した結果、広大地として認められました。

なお、評価対象地は間口約32m 、奥行約75m 、なおかつ敷地全体の約42% が法面という極めて条件の悪い土地です。そのため想定上とはいえ、土地利用計画図の作成では二転・三転し、とても苦労しました。

 

広大地として認められたポイントはここにある!

①評価対象地より立地に優れる土地の開発事例が、マンションではなく戸建住宅であることを説明できたこと。

②その地域がマンション(共同住宅)から、戸建住宅へと移行しつつあることを事例をもって説明できたこと。

③隣接地の3階建マンションと4階建マンションは十数年前に建てられたもので、評価対象地へ影響を及ぼすものでないことがわかったこと。

④評価対象地は奥行きが約75mと長く、開発道路と1区画の面積との調整に苦心したものの、理屈が通る土地利計画図が作成できたこと。

 

関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/