毎年コツコツ贈与していたのに、名義預金と認定された事例

2019年4月26日

税務署『父は10年前から年に1回、子供と孫名義の通帳に、贈与税の基礎控除以下で定額貯金を積み立てていました……

私たちが納税資金に困らないよう心配し、私たち名義の通帳に貯蓄をしておいてくれたのでした。この子どもと孫名義の通帳は父名義ではないので、父の相続財産として計上せずに相続税の申告をしました。生前贈与をしておいてくれたおかげで、相続税の負担が減り、私たちは父に感謝しました。

しかしその後、税務署の調査があり、子供と孫名義が名義預金であると指摘されてしまい、相続税を追加で支払うことになりました。』

(『税理士が見つけた!相続の失敗事例55』辻本郷税理士法人編著、東峰書房 より)

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上記書籍には下記の失敗のポイント等の記載がありました。

 

※失敗のポイント

税務調査では下記のような指摘をされた。

1.子どもと孫たちが自分たちの印鑑で通帳を作成していない。

→自分の通帳であれば自分の印鑑を使いますが…。

2.子どもと孫たちが通帳の存在を知らない。

→自分の通帳であればあることは知っているはずですが…。

3.贈与契約書がなく、子供と孫たちが贈与の事実があったかどうかを知らない。

→本当に贈与が行われていたのでしょうか…。

4.贈与者が子供と孫たちの通帳の管理・支配・運用をしていた。

→実質的贈与が行われたとはいえないのでは…。

 

※ポイント解説

贈与の事実を認めてもらうためにはどうすればよかったのか

適切な贈与のポイントは4つあります。

①贈与契約書を作成することです。

②贈与税の申告と納税をすることです。

③贈与口座を作るとき、子供と孫たちは自分の印鑑で通帳を作ることです。

④子供と孫たちは、通帳と印鑑を自分で管理・保管することです。

 

この本はとてもすばらしいと思いました。