個人から法人に対して譲渡した土地の評価において低額譲渡が適用された事例

個人から法人に対して譲渡した土地の評価において、争いになり、低額譲渡が適用された事例 (東京地裁 R4.12.12判決)
本件土地の争いの概要
個人は土地を同族会社に770万円で譲渡した。その後、同社は3日後その土地を第三者に1800万円で売却した。
税務署は、本件土地の時価は1800万円だと主張し、争いになった。
東京地方裁判所は、本体土地の時価は、1800万円と認めるのが相当とした。従って、本件土地の売買価格は時価の1/2未満となるので、低額譲渡だと、判断した。
東京地裁 H3.4.26判決、X(旧ツイッター)令和4.12.12掲載
本件の要旨
本件は、法人に対する資産の譲渡があった場合において、売主である個人のみなし譲渡所得課税の適用について土地の時価が争われた事例です。
個人 (原告) は、昭和61年3月31日、売買契約により、本件土地 (568.24㎡) を同族会社A社に770万円で譲渡した。本件土地は、3日後の同年4月3日、A社から第三者に1800万円で譲渡されている。
そこで、Y税務署長(被告)は、本件土地の時価は、本件売買契約の直後の取引に照らして1800万円とみるのが相当であるから、右譲渡価額は低額譲渡に該当し、譲渡価額と時価との差額が譲渡所得にあたるとして、 課税処分を行っている。
判決は、本件土地は、譲渡があった日から僅か3日後にA社から第三者に 1800万円で転売されていることからすれば、本件売買契約時における本件土地の時価も、1800万円と認めるのが相当であり、本件土地の売買価額770万円は時価の2分の1未満となるから、本件土地の譲渡には低額譲渡の規定が適用されるとしている。
(相続税・贈与税通達のよらない評価の事例研究・現代図書刊より引用)
関係法令・事例
低額譲渡であるか否かの判断基準について、裁決事例では下記のように述べています。
① 低額譲渡の判断基準は、「単に売買価格だけでなく、当該財産における譲受けの事情、譲受価額、市場価額、及び相続税評価額などを総合勘案して社会通念に従い著しく低い価額の対価に該当するか否か判断すべきものである。」(裁決事例平成15年6月19日)
② 相続税法第7条(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合
著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があった時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があった時における当該財産の時価との差額に相当する金額を、当該財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなす。(平成13年4月27日裁決)
上記東京地裁の判決事例と同様な事例
個人から法人へ土地を譲渡して、時価の1/2未満の金額で法人に譲渡し、著しく低い価額だとして所得税法第59条を適用された事例(H16.3.8裁決)があります。
売買をする時は、時価の把握に注意が必要です。
①所得税法第59条第1項第2号
個人から法人に対する著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡があった場合には、その事由が生じたときに、そのときの価額に相当する金額により譲渡があったものとする。
②同法施行令第169条(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲
低額譲渡の特例が適用される著しく低い価額の対価を時価の2分の1に満たない金額とする、とある。
(上記①、②は、平成16年3月8日裁決)
コメント
個人が法人に対し時価の1/2未満で売却した場合、時価によって譲渡があったとみなし、対価と時価との差額は譲渡収入とされますので、注意が必要です。
個人と同族法人との不動産の取引は、税務署にとって注目すべき取引の1つで、課税チャンスをねらっています。









