被相続人と法人Aとの土地の賃貸について、本件土地の賃貸が使用貸借であっても、法人Aには本件土地の借地権相当額があるとした事例(平成9年2月17日裁決 大阪・非公開)
1.事例の概要
本件は、被相続人と法人Aとの土地の賃貸借関係について、借地権課税が問題になった事例です。
この事例をみて思ったことは、個人と法人とでは課税のしかたが相当ちがう、真逆になりうるということがあるのだと思いました。
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即ち税法では、法人は営利追求を目的とするものであって、その活動は合理的経済人としての立場であるから、本件土地が使用貸借であっても、借地権相当額の設定課税と認めるのが相当である。したがって、法人Aには本件土地の借地権相当額があるとしました。
2.審判所の判断(裁決要旨)
請求人は、被相続人とAとの本件土地の賃貸関係は、本件建物の建築時から本件相続開始日まで権利金及び賃料授受のない民法593条の使用貸借であるから、借地権は存在せず、本件土地の価額の算定にあたっては借地相当の価額を控除して評価すべきではない旨主張する。
しかしながら、税法上においては、法人が本来営利追求を目的として設立されるものであり、
その活動はすべて合理的な経済人としての立場から行われるべきもおのとの考え方から、
本件土地の賃借が使用貸借の名のもとにAに建物を建築させた場合であっても、借地権相当額の認定課税が行われていたと認めるのが相当であるから、
Aには本件土地の借地権相当額が存することとなる。