評価単位が争いになった事例

2019年4月26日

評価単位の 裁決事例土地評価において、

評価単位が争点になった裁決事例(平成11年1月25日裁決・名古屋・公開)がありましたので掲載いたします。

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請求人らは、本件各土地を畑、野原、用悪水路として評価すべきである旨主張するが、

土地の価額は地目の別に評価することとされており

その地目は不動産登記簿等によるのではなく

課税時期の現況によって判定するのが相当であるところ、

本件各土地の現況はすべてが山林と化した雑木林であることから

山林として評価するのが相当である。(平11.1.25 名裁(諸)平10-50)

 

上記の内容の詳細は下記の通りです。

 

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ニ 乙土地の価額
乙土地の価額について審理したところ、次のとおりである。

(イ)当審判所が本件土地について、原処分関係資料を基に調査したところ、次の事実が認められる。
A K原野は、甲土地に隣接する土地であり、現況は甲土地と同様な山林であること
B L水路は、甲土地に隣接する土地で、現況は甲土地と同様な山林であり、用水路等に使用されている事実は認められないこと
なお、P市役所の土地課税台帳によれば、昭和53年から本人申出に基づき用悪水路の扱いとなっていること。
C 別表1の13の土地(以下「N畑」という。)は、甲土地に隣接する土地であり、現況は甲土地と同様な山林であること
なお、請求人らは、平成7年12月28日にP市農業委員会に対し、現況が農地又は採草放牧地でない旨の「現況証明願」を提出しており、それによれば、昭和43年ごろから水源もなく、農耕の不耕作地となり、現況は山林となっている旨記載されていること。
また、N畑の登記簿謄本では、昭和43年月日不詳とし平成8年1月30日の受付で地目を山林に変更していること。
D W国税局長が定めた平成7年分の評価基準書の評価倍率表によれば、本件土地の所在するP市R町の山林の評価倍率は310倍であること。

(ロ)一般に土地を評価する場合には、その土地を宅地、田、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地及び雑種地の地目別に区分してその価額を算定することが合理的であるとされ、この場合の地目は登記簿等に記載された地目にかかわらずその土地の課税時期の現況により判定すると解されている

(ハ)請求人らは、L水路の価額をY用水の土地(昭和36年前後に地上権設定契約を締結した地中埋没管用水)の評価に準じて、相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》に規定する地上権の額(地上権が設定されていない場合の時価の100分の90の価額)を控除し算定しているが、上記(イ)のBのとおり水路あるいは地中埋没管の存在する事実は認められず、現況は山林であることから、L水路の価額は、山林として評価基本通達を適用し算定したところ別表4のとおり929,070円(同表の11と12の合計額)となる。

(ニ)原処分庁は、N畑を畑として価額を算定しているが、上記(イ)のCのとおり現況は山林であることから、N畑の価額は、山林として評価基本通達を適用し算定したところ別表4のとおり9,399,510円となる。

 

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長文をお読み頂き、ありがとうございます。

本件において思うのは、現況がいかに大切であるかということがよくわかる事案だと思いました。