中古車展示場用地に賃貸した本件土地は、貸宅地として借地権を控除して評価することはできないとした事例
相続税の申告にあたり、請求人(納税者)らは、
本件土地を中古車展示場として貸し付けするにあたり、建物の建築を認め、なおかつ堅固な建物が建っている(登記済)にもかかわらず、
本件賃貸借は、本件建物等の所有を主たる目的とするものとは認めないとした裁決事例がありましたので、その要旨を掲載します。
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請求人らは、本件土地の中古車展示場等の敷地としての賃貸借契約について、
貸付けの際に建物の建築を承諾していたこと及び本件建物は堅固建物であり建物表示登記がされていることから、借地法の適用があり、本件土地は貸宅地として評価すべきと主張する。
しかしながら、借地法第1条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」とは、
土地賃借人の土地使用の主たる目的が、その地上に建物を築造し、これを所有することにある場合を指し、
借地人がその地上に建物を築造し、所有する場合であっても、
それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときはこれに該当しないと解されるところ、
[1]本件建物等は、あくまでも本件土地の一部を占めるにすぎず、大部分は自動車展示場及び進入路として利用されていること、
[2]賃貸借契約書では、本件土地の賃貸借の目的を、自動車展示場、自動車置場及び営業事務所の敷地とし、営業所の建物の建築は認めているものの、永久建造物とすることはできず、建物の表示登記及び保存登記を禁じていること、
[3]本件建物等は、鋼板葺の軽量な屋根を支える簡易な構造の建物で堅固建築物とは認められず、その収去は借主の負担において行うとされていること、及び
[4]賃貸借契約には権利金の取決めがなく、土地の賃借人は、土地の明渡しに際して立退料を請求しないと答述していることから、
本件賃貸借は、本件建物等の所有を主たる目的とするものとは認められない。
平成17年5月17日裁決