著しく広大な土地か否か(実際の事例)

2019年6月12日

本件B土地は、14区画に区分されて利用されている等、周辺の宅地に比して著しく広大な土地とは言えない事例

本件各土地の概要

(1)本件B土地

本件B土地は、■■■駅の約1500mに位置し、北東側道路に約70m北西側道路に約56m西側道路に約13m接する三方路に面した土地である。本件B土地は別表2の略号欄のとおり。

本件B1土地ないし本件B14土地は、14区画に区分して利用されている。その内訳は、それぞれ借家人の異なる貸家の敷地の用に供されている土地が9区画未利用の建物の敷地が2区画駐車場が1区画私道が1区画及び空用地が1区画である。

広大地に該当しないとした事例

本件B土地の属する用途地域は第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)である。

審判所の判断

本件B土地について

① 請求人らは、本件B土地を一体の土地として評価すれば、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は利用の単位となっている1画地ごとに評価すると、著しく地積が広大な宅地に該当しないと主張し、その評価単位が争われている。

② 宅地の評価単位について、評価基本通達7-2は、利用の単位となっている1区画の宅地を評価単位とする旨定めている。この評価単位の判定は、(イ)宅地の所有者による自由な使用収益を制限する他者の権利の存在の有無により区分し、(ロ)他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分することとされており、貸家建付地の評価において貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに区分して評価することとなる。

 

そこで、本件B土地の利用状況をみると、本件B土地は14区画に区分されて利用されており、利用制限の認められない自用地部分についても、隣接しているなど一体評価すべき区画の存在は認められない。

すると、本件B土地については、利用の単位となっている14区画に区分して評価することになる。これらの区画の地積は99.87㎡から287㎡と、上記の周辺の宅地の地積に比して著しく広大であるとは認められない。

③ したがって、本件B土地の相続税評価額の計算上、広大地の評価の適用はない。文中の区画図の表

評価対象地は、公共公益的施設用地の負担が必要なので、広大地に該当するとした事例

(平成24年8月28日裁決・仙台・公開)

本件土地の概要

本件土地は、本件相続開始日において、請求人所有の家屋の敷地の用に供されていた。

本件土地は、西側幅員約6mの道路に25m接面し、東側は幅員約6mの道路に18.5m接面しており、奥行き北側53.5m南側38.5m台形に近い不整形な土地である。

本件丙地域の標準的使用は戸建住宅地と認められるものの、その状況は、農地等の開発されていない土地も多く見受けられるが、戸建住宅が整然と建ち並ぶ地域である。本件土地の存する地域の用途地域は、第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)である。

審判所の判断

(1)評価基本通達の定める「公共公益的施設用地」の負担の要否について

広大地に該当するとした事例の画像

①本件丙地域における本件通達に定める「標準的な宅地の地積」は、上記ロのとおり、180㎡以上210㎡未満であると認められ、当該地積に基づいて本件土地を開発した場合、宅地の区画として5区画の開発が想定される。

②また、本件丙地域における平成9年ないし平成20年の宅地開発状況等をみると、道路を開設した戸建住宅用地の開発事例甲は3件あるが、路地状開発による戸建住宅用地の開発事例乙は1件のみである。

③本件丙地域における「標準的な宅地の地積」及び本件土地の形状、地積及び西側と東側にある公道との接続状況から、仮に本件土地について路地状開発を行うとすれば、別紙4の原処分庁が主張する開発想定図にある開発を行うことが想定されるところ、この場合の路地の長さは20メートル程度必要となるが、そのような長さの路地がある路地状開発の事例も、本件甲地域内の路地状開発の事例6件の中に1件もない。

そうすると、原処分庁の主張する開発想定図は、本件甲地域においても一般的な開発想定図であるとはいえないから、本件土地については、別紙8のとおり、道路開設による開発をするのが経済的に最も合理的な開発であると認められる。

したがって、本件土地は開発行為をするとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要な土地であると認められる

以上のことから、本件土地は、本件通達の「その地域」における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な土地に当たり、公共公益的施設用地の負担が必要と認められることから、本件土地は本件通達に定める広大地として評価するのが相当である。

 

関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/