賃料減額請求に相当期間必要か。最高裁・判例

2019年6月5日

空と家の模型

相当期間の経過は賃料が不相当かどうかの判断の一事情であるとした事例

最判平3・11・29(判時1443・52、判タ805・53、金法1314・27、金商933・3)

 

建物の賃貸人が借家法7条1項の規定に基づいてした賃料の増額請求が認められるには、建物の賃料が土地又は建物に対する公租公課その他の負担の増減、土地又は建物の価格の高低、比隣の建物の賃料に比較して不相当となれば足りるものであって、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過しているか否かは、賃料が不相当となったか否かを判断するひとつの事情にすぎない。

 

したがって、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過していないことを理由として、その間に賃料が不相当となっているにもかかわらず、賃料の増額請求を否定することは、同条の趣旨に反するものといわなければならない。

借地借家紛争解決の手引(新日本法規出版)より引用

 

借家法7条1項について (wikibooksより引用)

第7条
  1. 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。
    ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。

 

関連ページ:相続税法上の時価鑑定(https://erea-office.com/appraisal/fair_valuation/)