更新料(借地)

2019年4月25日

約定更新料の不払を理由に賃貸借の解除を認めた判例がありましたので、掲載します。約定更新料の不払い時の賃貸借解除

「判例①」東京高判昭58・7・19(判時1089・49)

(1)本件更新料は本件土地利用の対価として支払うこととされたものであって、将来の賃料たる性質を有するものと認められる。

(2)控訴人は、更新に関する異議権を放棄し、その対価としての更新料を請求し、これについて更新料の支払が合意されたものと認めるべきである。土地賃貸借契約の更新に際し、賃貸人が述べる異議に正当事由があるか否かは不明確な場合が多く、その解決のためには、多くの時間と費用を費やして訴訟等で争われることがあるのであるから、訴訟等による損害を未然に防止する目的で金銭的解決を図ることは賃借人にとって利益となる側面もあり、その支払の合意は、必ずしも借地法6条の規定を潜脱し、同法11条の賃借人に不利なものとは一概にいえないから、本件事情の下ではその効力を認めるべきである。

(3)また、本件においては、被控訴人に建物の無断増改築、借地の無断転貸、賃料支払の遅滞等の賃貸借契約に違反する行為があったが、本件調停はこれら被控訴人の行為を不問とし、紛争予防目的での解決金をも含めた趣旨で更新料の支払を合意したものと認められる。

そうすると、本件更新料の支払義務は、更新後の賃貸借契約の信頼関係を維持する基盤をなしていたものというべきであり、その不払は賃貸借契約を解除する原因となるというべきである。

【約定更新料の不払を理由に賃貸借の解除を認めた例】

「判例②」最判昭59・4・20(判時1116・41、判2の上告審)

土地の賃貸借契約の存続期間の満了に当たり賃借人が賃貸人に対し更新料を支払う例が少なくないが、その更新料がいかなる性格のものであるか及びその不払が当該賃貸借契約の解除原因となり得るかどうかは、単にその更新料の支払がなくても法定更新がされたかどうかという事情のみならず、当該賃貸借成立後の当事者双方の事情、当該更新料の支払の合意が成立するに至った経緯その他諸般の事情を総合考量した上、具体的事実関係に即して判断されるべきものと解するのが相当であるところ、原審の確定した事実関係によれば、本件更新料の支払は、賃料の支払と同様、更新後の本件賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、その賃貸借契約の当事者の信頼関係を維持する基盤をなしているものというべきであるから、その不払は、この基盤を失わせる著しい背信行為として本件賃貸借契約それ自体の解除原因となり得るものと解するのが相当である。

※この事例は、借地借家紛争解決の手引、新日本法規出版より引用しました。

 

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