公共公益的施設用地が不要な土地

2019年6月12日

整形地内に区画割りが可能なので、本件土地は敷地内に道路を設置するまでもなく広大地とは認められないとした事例

本件土地の概要

F土地の土地は、4m以上の道路に三方が面する558.47㎡の土地で、被相続人が貸駐車場の用に供している。F土地の属する用途地域は、第一種低層住居地域(容積率100%)である。

G土地の土地は、三方の路線のうち二方は4mの道路に面する538.72㎡の土地で、被相続人が貸駐車場の用に供している。G土地の属する用途地域は、第一種低層住居地域(容積率100%)である。

審判所の判断

本件は、評価基本通達を適用して評価する場合において、当該通達の各定めの解釈適用に争いがあるので、以下審理する。

(1)本件各更正処分について広大地に該当しないとした事例

請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

① F土地は、北側の路線に28.53m、東側の路線に18.81m、西側の路線に19.33m接しており、いずれの路線も幅員は4m以上である。

② G土地は、東側の路線に21.46m、南側の路線に21.43m、西側の路線に22.24m接している。東側及び西側の路線の幅員は4m以上であるが、南側の路線の幅員は1.2mであり、平成15年分の路線価は設定されていない。

(2)F土地及びG土地の価額について

請求人らは、F土地及びG土地について、広大地の評価をすべきである旨主張する。

評価基本通達24-4に定める広大地とは、都市計画法に規定する開発行為を行うとした場合に、公共公益的施設用地として相当の規模の負担が必要と認められるものをいうとされており、単に面積の大小のみを規準とするものではない。

本件の場合、別表2(参考図)のとおり、F土地は幅員4m以上の三方の路線に接しており、また、G土地は三方の路線に接しその路線のうち二路線についてはその幅員が4m以上であり、本件相続開始日における■■■■の条例によれば、住宅地としての開発行為をする場合の最小敷地面積が120㎡以上とされていることからして、F土地及びG土地はそれぞれ4区画に分割することができ(1区画の平均が139.61㎡となる。)、開発行為による道路を設置するまでもなく道路に面する整形地として区画割りすることが十分に可能であるから、F土地及びG土地は、開発行為による公共公益的施設用地を必要としない土地と認められる。

そうすると、F土地及びG土地については、評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないから有効宅地化率を用いた評価は適用されない。したがって、この点に関する請求人らの主張は採用できない。

9月2日記事文中参考図

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コメント

広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。

本件の場合、F土地は幅員4m以上の三方の路線に接面し、G土地は三方の路線に接しその路線のうち二路線についてはその幅員が4m以上ある土地です。

本件土地が存する自治体の条例によれば住宅地としての開発行為をする場合の最低敷地面積が120㎡以上とされています。

よってF土地、G土地ともに4区画に分割できる(1区画平均139.61㎡と134.68㎡)ので、開発行為による道路を設けることなく整形地に区割りできます。従ってF土地、G土地ともに公共公益的施設用地を必要とせず土地を区割りできる土地となるので、広大地には該当しないと審判所は判定しました。

実務上、開発行為を行う場合の自治体の条例等による宅地の最低敷地面積及び公示地や基準地の面積、開発事例に基づく面積等を比較検討し、その地域の標準的な宅地の標準的な土地の面積を求める作業はとても大切になってきます。

対象土地が二方、三方が道路に面する土地については特に注意して土地の区割をすることが必要ですし、公共公益的施設用地が必要か否かの難しい判断が求められることになります。

 

関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/