敷地がマンション適地か否か??

2019年6月12日

評価対象地は私鉄駅の近く(150m)にあり、周囲には評価対象地とほぼ同程度の住宅や事業所等があります(図表3-19)。本事例では、マンション適地か否かがポイントとなります。

物件の概要広大地に該当するとした事例の画像

面積:859.50㎡
地形:ほぼ長方形
接道:4m
用途地域:第1種住居地域 (60%、200%)
駅への距離:約150m(道路距離)
周辺の利用状況:中小規模一般住宅・事業所・医院・駐車場
等が混在する地域
土地の利用状況:居宅

考察

まず気になったのが、評価対象地が私鉄駅からわずか150mのところに位置しているという点です。
駅前には分譲マンションや賃貸マンションが林立しているので、1~2本道路を入った評価対象地周
辺も、マンション適地の可能性は十二分にあります。
16年情報によると、マンション適地とは次の要件を満たす土地のことです。

イ 近隣地域または周辺の類似地域に現にマンションが建てられているし、また現在も建築工事中のものが多数 ある場合、つまりマンション敷地としての利用に地域 が移行しつつある状態で、しかもその移行の程度が相当進んでいる場合

ロ 現実のマンションの建築状況はどうであれ、用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制等が 厳しくなく、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性から判断しても、換言すれば、社会的・経済的・行政的見地から判断して、まさにマンション適地と認められる場合

逆にいえば、上記要件を満たさなければ、評価対象地は広大地になる可能性があります。
評価対象地の場合、数年前に評価対象
地の斜前面の土地が戸建住宅分譲として開発されています。
評価対象地とほぼ同規模で、しかも公共公益的施設用地の負担が生じた開発事例です。
また、その付近にも同様な開発事例がありました。
逆に、マンション等の開発事例や建築事例は皆無です。
つまり、評価対象地は明らかにマンション用地に適していると認められる土
地には該当しないものと判断できます。
次に、その地域の標準的な宅地の面積を80㎡程度と判断しまし た。そこで、80㎡の面積を基準に最有効使用の土地利用計画図を作成したところ、開発道路等の公共公益的施設用地の負担が生じることがわかりました。
これらの情報を基に広大地判定の意見書を提出したところ、広
大地として認められました。

広大地として認められたポイントはここにある!!

①マンションから戸建住宅の敷地に、その地域が移行しつつあることを説明できたこと。

②その地域の標準的な宅地の面積を 80mと確定できる資料を確保したこと。

③土地利用計画図でもって公共公益的施設用地の負担が生じることを説明できたこと。

関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/