標準的な宅地の地積に比して著しく広大か!

2019年6月12日

国道沿いの間口1.25mの土地は広大地に該当するか否か !! (平成27年5月26日裁決・公開・大阪)

1.本件甲土地の概要等

広大地に該当しないとした事例本件甲土地は、駅の南方約550mに位置する1186㎡の土地で、生産緑地の指定を受けており、現況も農地である。

本件甲土地は、本件国道と間口約1.25mで接面している。また準住居地域及び第1種中高層住居専用地域(共に容積率200%)にまたがっている土地である。

本件国道沿いには、商業・業務系の土地利用が多く見られる。即ち、自動車販売店、物品販売店、飲食店等のいわゆるロードサイド店舗が建ち並んでいる(合計9店舗)。そのほかに、1階店舗とする店舗併用集合住宅も2棟が存在するが、戸建住宅は2軒が存在するのみである。

本件隣接地は、本件土地の北西側に隣接する地積17㎡の農地である。本件隣接地は、その北西側が本件国道と間口約7.11mで接面しており、その南東側が本件土地と接面している。本件隣接地は、本件国道と本件土地とを行き来する道路として利用されている。

2.争点

本件通達に定める広大地に該当するか否か

3.原処分庁の主張

本件甲土地は、「標準的な宅地の地積」に比して著しく広大とは認められない。

(以下省略。)

4.請求人らの主張

本件甲土地は、本件通達に定める「その地域」における「標準的な宅地の地積」に比して著しく地積が広大であると認められ、開発をする場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから、広大地に該当する。

(イ)本件甲土地は、本件国道沿いのほかの一般的な大型店舗敷地のように接道する間口の広い敷地とは異なり、本件国道に間口1.25mしか接していないから、建築要件としての接道義務も満たさず、無道路地扱いも許されるような地形の土地である。

それにもかかわらず、原処分庁は、評価単位が異なる本件甲土地と本件隣接地とを一体利用できると認定した上、本件隣接地の間口約7mを基にして本件国道からの進入路を確保できるとして評価しているが、誤りである。

したがって、本件甲土地は、本件国道に間口1.25mしか接していない地形の土地であって、本件国道の影響は極めて低いというべきであるから、本件国道沿いの土地と評価されるべきではない。

(ロ)都市計画法に規定する用途地域の観点でみると、本件国道の南北両端から奥行25mまでを準住居地域とし、それより外側を第一種中高層住居専用地域としているところ、本件甲土地は、その両地域にまたがり、面積の56%(約665㎡)の部分は、第一種中高層住居専用地域に属している。

また、評価通達14-2に定める地区の観点でみると、本件国道沿いが普通商業・併用住宅地区で、本件国道以外の道路に接する地域が普通住宅地区とされているところ、上記のとおり本件甲土地は本件国道の影響が極めて低い状況にある。

したがって、本件甲土地は、第一種中高層住居専用地域及び普通住宅地区に所在する土地となるところ、「16年情報」が、「普通住宅地区等に所在する土地で、開発許可を要する面積以上のものは、広大地に該当しない例示を除き、原則として著しく地積が広大な宅地として差し支えない」と定めていることからすれば、本件甲土地は広大地として評価すべきである。

(ニ)「その地域」の主な宅地の地積及び利用状況について、過去の裁決事例に照らせば、本件甲土地が所在する同一用途地域内における地価公示法の規定に基づき公示された標準地が、「標準的な宅地の地積」を有するものであると認められ、その地積は、平均すると200㎡程度である。

(ホ)合計地積1,186㎡の本件甲土地は、第一種中高層住居専用地域、普通住宅地区にあるので、標準的使用は郊外型の大規模店舗敷地ではなく、戸建住宅敷地であり、近傍の「標準的な宅地の地積」である200㎡程度に比して著しく広大と認められる。

5.審判所の判断

(1)本件甲土地の広大地該当性の有無

(イ) 本件甲土地が本件国道南側沿いの土地といえるかについて

本件甲土地は、それ単体では、本件国道に間口約1.25mでしか接面していないが、本件甲土地と所有者(請求人J)を一にし、本件甲土地の北西側に接面する本件隣接地は、本件国道と間口約7.11mで接面しており、両土地を一体的に利用することで、両土地は本件国道に間口約8.36mで接面することとなり、本件国道からの進入路を確保することが十分可能である。現に本件隣接地が本件国道と本件甲土地とを行き来する通路として本件甲土地と一体的に利用されていることからすれば、本件甲土地は、本件国道南側沿いの土地であると認めるのが相当である(なお、財産評価上、道路に接していない土地(無道路地)を評価する場合において、当該無道路地に連接する自己所有の土地が存在し、当該土地を通路として利用することが可能な場合には、当該無道路地は、事実上無道路地としての利用上の制約が存在しないため、無道路地としての補正を行わない取扱いがされているところであり、同様の状況にある本件甲土地を上記のように評価することは、当該取扱いとも合致するといえる。)。

上記説示は、本件甲土地と本件隣接地を一体評価すべきとしたものではなく、両土地が本件隣接地を進入路として一体的に利用することが可能であることを認定したにすぎない。評価単位が異なることと両土地に一体利用可能性が認められることとは別次元の問題であるから、請求人らの上記主張は採用することができない。

また、請求人らは、本件地域と本件国道北側地域は、……本件国道を境に本件地域を区切って「その地域」と捉えることは不合理である旨主張する。

しかしながら、用途地域等は、「その地域」の判断に当たり一つの考慮要素となるものではあるけれども、用途地域等が同じ範囲が直ちに「その地域」と捉えられるものでないことはいうまでもなく、…本件地域と本件国道北側地域とは、本件国道に隔てられ、町名も異なる上に、両地域の現況から、土地の利用状況等が明らかに異なっていると認められるのであるから、本件国道を境に本件甲土地の存する「その地域」の北側を区切ることには合理的理由があり、請求人らの上記主張は採用することができない。

以上のとおり、本件甲土地の存する「その地域」は、本件地域であるものと認められる。

(ロ) 「標準的な宅地の地積」について

A 本件甲土地の付近で状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地として適当なものは見当たらないことから、本件地域における標準的使用に基づく宅地の平均的な地積を検討するのが相当である。

本件地域における宅地の標準的使用は、ロードサイド店舗ないし店舗併用集合住宅であると認められるところ、かかる標準的使用がされている11区画の平均的な地積は、単純平均で1,500.93㎡であり、その過半数を占める6区画が1,200㎡~1,800㎡の間に分布しているのであるから、これらの地積(以下「本件地積」という。)をもって、本件地域の「標準的な宅地の地積」であるものと認めるのが相当である。

B これに対し、請求人らは、本件甲土地が所在する同一用途地域内における、地価公示法の規定に基づき公示された別表4の各地価公示標準地の地積(平均241㎡)が、「その地域における標準的な宅地の地積」である旨主張する。

しかしながら、請求人らが挙げる各地価公示標準地は、本件地域に属するものではない上に、地価公示標準地は、本件国道に接面しておらず、地価公示標準地は、本件国道に接面してはいるものの、本件甲土地から約1kmも離れているのであるから、いずれも「その地域における標準的な宅地の地積」の算定の基礎とするのに適切なものとはいい難く、請求人らの主張は採用することができない。

C 以上のとおり、本件地域の「標準的な宅地の地積」は、本件地積であるものと認められる。

(ニ) 小括

以上によれば、合計地積1,186㎡の本件甲土地は、「その地域における標準的な宅地の地積」である本件地積に比して著しく地積が広大であるとは認められないから、広大地に該当するということはできない。

ニ 本件乙土地の広大地該当性の有無

上記のとおり、本件乙土地は、本件地域内に存し、その北側が本件国道と間口約54.18mで接面し、その東側が本件甲土地と接面し、現に、本件地域における標準的使用であるロードサイド店舗として利用されているのであるから、「その地域における標準的な宅地の地積」は、本件甲土地と同様であると認めるのが相当である。

そうすると、合計地積1,641.99㎡の本件乙土地は、「その地域における標準的な宅地の地積」である本件地積に比して著しく地積が広大であるとは認められないから、広大地に該当するということはできない。

 

関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/