非線引き都市計画区域と広大地
非線引き都市計画区域内の(596㎡)の本件土地は、都市計画法の規定に基づく3000㎡以上の土地には当たらないので、本件土地は、広大地通達における広大地には該当しないとした事例(名裁(諸)平25第6号 平成25年8月1日裁決)
本件土地の概要
本件土地の地積は596㎡の土地で、本件相続開始日において、一団の畑として利用されていた。本件相続開始日において、本件土
地の評価通達における区分は、農地であり、さらに農地のうち、市街地周辺農地に分類される。
本件土地は、都市計画区域に指定されていたが、市街化区域と市街化調整区域の地域地区の定めはされておらず、準工業地域に指定されていた。
審判所の判断
(1)評価基本通達40-2の趣旨
評価通達40-2は、別紙1の2の(3)のとおり、市街地周辺農地が宅地であるとした場合において、広大地通達に定める広大地に該当するときは、広大地通達の定めに準じて評価する旨定めているところ、その趣旨は、市街地周辺農地は、市街地に近接する宅地化傾向の強い農地であり、付近の宅地価額の影響を強く受けることから、市街地周辺農地が広大地通達の要件を満たす場合には、宅地に準じて評価することが合理的であるという理由に基づくものと解される。
(2)当てはめ
本件土地は、本件相続開始日において、一団の畑として一体で利用されていたものであるから、一つの評価単位として、広大地通達に定める「標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大」であるとは、開発行為を行う場合に都市計画法に規定する許可が必要であり、かつ、その土地の面積がその地域における土地の標準的な宅地の地積よりも広大である場合をいうものと解されるところ、本件土地は、都市計画法第5条に規定する都市計画区域に指定されていることから、当該区域において開発行為を行う場合には、同法第29条第1項の規定に基づく許可が必要であり、本件土地が所在する■■■は、同法第33条《開発許可の基準》第6項に規定する事務処理市町村に該当するものの、都市計画法施行令第19条第1項ただし書に係る条例を定めていないため、同項本文に
基づき、本件土地において開発行為を行う場合、都市計画法の規定に基づく許可を必要とする土地は、3,000㎡以上の土地となる。
そうすると、本件土地は、面積合計596㎡であって、開発行為を行う場合、都市計画法の規定に基づく許可を必要とする3,000㎡以上の土地には当たらないから、本件土地は広大地通達に定める「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」には該当しない。
以上
又都市計画法施行令第19条第1項は下記の通りです。
法第二十九条第一項第一号 の政令で定める規模は、次の表の第一欄に掲げる区域ごとに、それぞれ同表の第二欄に掲げる規模とする。
ただし、同表の第三欄に掲げる場合には、都道府県(指定都市等(法第二十九条第一項 に規定する指定都市等をいう。以下同じ。)又は事務処理市町村(法第三十三条第六項 に規定する事務処理市町村をいう。以下同じ。)の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。第二十二条の三、第二十三条の三及び第三十六条において同じ。)は、条例で、区域を限り、同表の第四欄に掲げる範囲内で、その規模を別に定めることができる。 |
第一欄 | 第二欄 | 第三欄 | 第四欄 |
市街化区域 | 1,000㎡ | 市街化の状況により、無秩序な市街化を防止するため特に必要があると認められる場合 | 300㎡以上1,000㎡未満 |
区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域 | 3,000㎡
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市街化の状況等により特に必要があると認められる場合 | 300㎡以上3,000㎡未満 |
また『17年情報』による面積基準は下記の通りです。
(面積基準)
原則として、次に掲げる面積以上の宅地については、面積基準の要件を満たすものとする。 ①市街化区域、非線引き都市計画区域(②に該当するものを除く。)…都市計画法施行令第19条第1項及び第2項に定める面積(※) ※1 市街化区域 三大都市圏…500㎡ それ以外の地域…1,000㎡ 2 非線引き都市計画区域…3,000㎡ ②用途地域が定められている非線引き都市計画区域…市街化区域に準じた面積 ただし、近隣の地域の状況から、地域の標準的な規模が上記面積以上である場合については、当該地域の標準的な土地の面積を超える面積のものとする。 (注)1「非線引き都市計画区域」とは、市街化区域と市街化調整区域の区域区分が行われていない都市計画区域をいう。 2面積基準を図式化したものが(参考1)である。 |
以上から分かることは、本件土地が非線引き都市計画区域内にある場合、当該土地の存する当該指定都市等又は事務処理市町村に、都市計画法の規定に基づく許可を必要とする土地の面積はいくらかを確認する必要があります。即ち都道府県等の条例により、開発許可面積基準を別に定めている場合はその面積によることになります。
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)