幼稚園の運動用地は、借地法の適用は可能か!!

『幼稚園の園舎の敷地に隣接する土地を、幼稚園の運動用地として使用させるためにした賃貸借について、「建物所有の目的」を認めず、借地法の適用を否定した事例』
(最判平7・6・29判時1541・92)

本件は、地主が、運動用地として使用するために、幼稚園に賃貸した土地の明渡しを求めた事例である。本件運動用地は、幼稚園の所有する園舎の敷地に隣接し、これと不可分一体の関係にあることから、建物所有目的が認められるかが争点となった

この点、原審(東京高裁)は、本件賃貸借契約は、本件土地そのものの上に建物を所有することを目的とするものではないが、隣接の園舎敷地における建物所有の目的を達するためにこれと不可分一体の関係にある幼稚園運動場として使用することを目的とするものであることから、建物所有目的を認めた

これに対し、最高裁は本件賃貸借の目的は、運動場用敷地と定められていて、本件土地を幼稚園の運動場としてのみ使用する旨の合意が存在し、現実にも、本件土地を幼稚園の運動場以外の目的に使用したことはなく、又、本件賃貸借契約は、当初その期間が1年と定められ、その後も、公正証書又は調停によりこれを2年又4年ないし5年と定めて更新されてきたなどの当事者の合意等及び賃貸借の更新の経緯に照らすと、本件賃貸借は、建物の所有を目的とするものではないというべきであるとした。そして、本件土地が幼稚園の運動場として使用され、幼稚園経営の観点からすれば、隣接の園舎敷地と不可分一体の関係にある点については、そのような点があるとしても、園舎の所有それ自体のために使用されているものとはいえず、また、そのような使用を了承して賃貸していると認めるに足りる事情もうかがわれないから、本件賃貸借をもって、園舎所有を目的とするものということができないとした

以上の内容は下記の書籍を引用しました。

「駐車場・資材置場・一時使用・使用賃借の契約実務」(新日本法規出版刊)

※先日これと同じ事案を鑑定することになりましたので、この最高裁判例に基づき更地評価しました。さらに隣接土地幼稚園がこの土地を購入する場合の価額即ち限定価格も求めました。上記のように「幼稚園経営の観点からすれば隣接の園舎敷地と不可分一体の関係にある点…」を考慮して限定価格を求めることにしました。
依頼者の方には適切な内容の鑑定書なので、とても役に立ちますというお褒めのお言葉をいただきました。
ありがとうございます。

限定価格とは
不動産と取得する他の不動産との併合または不動産の一部を取得
する際の分割にもとづき、不動産の価値が市場価値を乖離すること
により市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場
限定にもとづく経済価値を表示する適正な価格をいう。

 

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