当事者の一方が法人の場合の借地権の取扱いについて

2019年4月26日

当事者の一方が法人で、その一方が個人である場合、税務上の取扱いは、法人税の取扱いに準拠する。したがって相続財産としての借地権の評価を要するとする裁決事例(平成16年9月10日裁決・熊本)

審判所の判断借地権の評価について

イ 関係通達等

A  使用貸借通達は、建物又は構築物の所有を目的として使用貸借による土地の借受けがあった場合においては、借地権の設定に際し、その設定の対価として権利金等を支払うなど借地権の取引慣行のある地域においても、当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う旨定めているが、使用貸借通達の前文によると、この通達の取扱いは、個人間の貸借関係の実状を踏まえて定めたものであるから、当事者のいずれか一方が法人である場合のその一方の故人については、原則として、従来どおり法人税の取扱いに準拠して取り扱うこととしている。

ロ 判断

A これらの取扱いにては、当審判所においても、相続税法及び法人税法の趣旨に照らして相当なものと認められる。

(イ)これを本件についてみると、次のとおりである。

請求人らは、本件被相続人と〇〇との間の本件土地の賃借は、上記のとおり、その地代の授受が固定資産税等相当額であるから、税法上当該地代を無償とみなし、使用貸借に該当するので、相続財産としての借地権の評価を要しない旨主張する。

しかしながら、上記のとおり、個人間の土地の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う旨定めているところ、本件土地の貸借については、当事者の一方が法人であり、その一方が個人であることから、税務上の取扱いは、法人税の取扱いに準拠することとなる。

そうすると、本件土地の貸借は、上記のとおり、権利金等の授受がされておらず、また、上記のとおり、本件土地に係る地代の額が固定資産税等相当額であることから使用貸借と認められるところ、貸地人が法人である本件においては、上記のとおり、使用貸借であっても税法上借地権が存在すると認めるのが相当であり、上記のとおり、当事者から原処分庁に対して無償返還届出書が提出されていないのであるから、相続財産としての借地権の評価を要することになる。

したがって、この点に関する請求人らの主張には理由がない。