広大地評価判定と開発法
戸建住宅とマンションが混在する地域で広大地の評価判定をする場合には、注意が必要です。
特に、本件土地に戸建て住宅の建築分譲とマンションの建築分譲を想定し、それぞれの開発法による価格を求め、
収益価格の優劣でもって本件土地が戸建住宅に適しているという論理で、鑑定書又は調査書を書く場合は、注意が必要です。
たとえば平成24年7月4日裁決事例では、開発法による価格を求めました。
①戸建住宅の建築分譲を想定する場合には、販売費及び一般管理費を分譲収入の8%とし、分譲収入等を価格時点の現在価値に割り引く投下資本収益率を10%とする
②マンションの建築分譲を想定する場合には、販売費及び一般管理費を分譲収入の12%とし、投下資本収益率を15%とする。
両者の間にこのような差異を設けることについて何ら理由が示されていないばかりか、その合理性を裏付ける事情も見当たらないから、
戸建住宅の建築分譲を想定した価格がマンションの建築分譲を想定した価格を上回る旨の上記不動産調査書の結論そのものの合理性を確認することはできないのであり、かかる上記不動産調査書を根拠として本件各土地をマンション適地などではないと認めることはできない。
したがって、請求人らの主張を採用することはできない、と審判所は判断しています。
この事案の場合、このような結論がでる可能性が十分あったと思われます。投下資本収益率についても十二分な説明が必要ですね。
でも難しい計算式を使わず説明できるようでなければ、広大地は無理と考えた方が良いと思います。
本件土地の存する地域及びその周辺の地域を分析すれば、高い確率で広大地になるか否かが説明できます。
不動産鑑定理論の計数を使うよりとても効率的で勝算は高いと思います。