広大地評価における最有効使用と不動産鑑定評価上の最有効使用の考え方の相違について
相続税の広大地評価における土地の最有効使用の考え方と、不動産鑑定評価上の最有効使用の考え方は全く違います。
その事を踏まえて、広大地評価を判断しなければ、結論は真逆になる可能性があります。
不動産鑑定評価基準では、不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という)を前提とし把握される価格を標準として形成されます。
この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づく、と定義しています。
しかし、国税庁の考え方は、鑑定評価基準の考え方と相違しています。
国税庁のHPによれば、「最有効使用と認められるものかどうかの判断については、その宅地の存する地域の標準的使用の状況を参考とする」とあります。
その土地の最有効使用は合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくという考え方と、その地域の標準的使用の状況を参考とするという考え方では、考え方に大きな相違があって、求める結論は、真逆になる可能性があります。
たとえば、【平成26年6月24日の裁決事例】を例にとれば、次のようになります。
※本件において
不動産鑑定士は、その地域の標準的な用途は大規模店舗等の敷地であるが、
本件土地は大規模店舗等の敷地として収益価格を計算すると、764,000,000円だが、
その利用方法を戸建住宅分譲用地として開発法を適用すれば、925,000,000円となる。
したがって、本件土地の最有効使用は戸建住宅分譲用地であると主張した。
・・・したがって本件土地は広大地に該当するとした。
その土地を広大地評価すると、502,506,637円となります。
何かおかしいですね。
広大地評価において、特に鑑定をする場合、広大地評価について熟知していないと、とんでもないことを知らぬ間にしてしまうことがあるので、注意が必要です。