借地の条件変更と契約解除

2019年4月25日

【事例21】非堅固建物所有を目的とする借地契約において堅固建物を新築した場合、契約解除が認められるか

(高松高判昭47・10・31判時689・80)

判旨

非堅固建物所有を目的とする借地契約において、堅固建物が新築された場合、借主において用法違反の義務不履行があるが、旧建物の焼失理由が類焼であること、付近は防火地域で堅固建物が多いこと、本件建物を建築するに至る事情等に照らして、契約解除を認めるほどの信義則違反に値しない。

事案の概要

貸主Xと借主Yとの間には、以下の内容とする本件土地(2筆)の借地契約が存在する。

・契約締結日:昭和33年12月24日

・目的:非堅固建物所有

・借地期間期間:定めなし

・賃料:2筆分合計月額4,000円

・特約:本件土地上に当時現存するY所有の家屋が滅失したときは、借地契約は解除になり、Yは即時無条件で本件土地をXに明け渡す。

 

昭和41年3月27日、本件土地上にあったY所有の旧建物が火災のため焼失した。

 

裁判所の判断

本判決は、以下のとおり述べて、Xからの控訴を棄却した。
まず、家屋の朽廃以外の事由による滅失の場合にも当然借地権が消滅する旨の約定は、借地権者に不利な特約であるから、旧借地法11条により効力はない。

次に、Yは、本件ではXから遅滞のない異議が述べられなかったから、本件借地契約は堅固建物所有を目的として更新されたと主張している。
この点、Xと本件土地はせいぜい14、15軒位しか離れていないこと、旧建物焼失直後からYは焼け跡で従前の商売を始め、数日後にはYの妻がX方に赴き、引き続き本件土地を貸してもらいたい旨の申出をしたところXは明確な拒否の意向を示さず、むしろ条件次第で承諾するような態度を見せたこと、Yが本件建物建築に着手したのが昭和41年4月8日であり、XからYに堅固建物の建築に対する異議がなされた同年5月11日頃には既に約7、8割の建築が終わっていたこと、XはYの堅固建物の建築を既に同年4月中には少なくとも知り得たものであることなどの事情があるとしても、遅滞なき異議があったものとして、旧借地法7条の法定更新は生じなかったものと解する。

また、Xの契約解除の主張について検討するに、非堅固建物の所有を目的とする借地契約において、堅固の建物が新築された以上、Yにおいて用法違反の義務不履行があったというべく、かつ更新について異議がなされ、法定更新は生じてもいない。
しかし、Y方の旧家屋が焼失したのは類焼であったこと、Yが本件建物を建築するに至る経緯、本件建物付近は防火地域で堅固建物の多いこと等の諸事情に照らし、本件の用法違反は、いまだ契約を解除する程の信義則の違反に値しない。

 

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