借地権付分譲マンション(10階建)の敷地の価額は、鑑定評価額によるべきとした事例
相続人が相続により取得した借地権付きの分譲マンションの敷地(宅地280.19㎡、以下本件宅地という)の価額は、評価基本通達に基づき算定した評価額(以下評価基本通達という)は、724,944,665円でした。
相続人が不動産鑑定士に本件宅地の鑑定を依頼した鑑定評価額は200,000,000円です。
相続発生日の本件宅地の価額について争いになり、国税不服審判所は、第三者間における底地の取引事例を確認できなかったので、当該取引事例から本件宅地の価額は求めることができなかった。
したがって、当該審判所は不動産鑑定士に鑑定を依頼したところ、本件宅地の価額は60,000,000円と認めました。
したがって原処分庁(税務署)が出した724,944,665円は取り消しとなりました。
平成9年12月11日裁決(東京)
※本件宅地の上には鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付10階建の借地権付きマンションがありました。
当然、借地権の敷地権の登記があり、その区分所有者数は84名になります。
本件においては84名の借地権者がいることにより、借地権と底地の併合の可能性は著しく低いと当該審判所が判断したことにより、鑑定評価を入れたと思われます。
当然時価との乖離が大きく、本件宅地における特別の事情はあると判断されたことによる結果です。
※①評価基本通達に基づく価額 724,944,665円
②相続人が依頼した鑑定士の鑑定価額 200,000,000円
③国税不服審判所の鑑定士の鑑定価額 60,000,000円
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