媒介業者の隠れた瑕疵の責任について
最近、「媒介業者の媒介で土地を購入しましたが、大量のコンクリート塊等が埋蔵されていたとして媒介業者が損害賠償請求された」判例の解説書を読む機会がありました。
媒介業者は土地の埋蔵物の有無について物的瑕疵をどこまで調査義務を負うのかと言う事が問題でした。
私も一応媒介の仕事をしていますので、いつ被告の立場にたつか分かりません。
とても興味深い問題です。
「宅建業者は、地質・地盤といった分野」の専門家ではないので、特別の知識、経験、鑑定能力まで要求されるものではありません。
媒介業者の隠れた瑕疵の調査については、特段の費用を要しない地歴調査(例えばかつて工場があったのか、その利用状況はどうなのか等)を実施しておくことが将来の紛争の防止につながる」(宅建主任者、講習テキストより)と言っています。
「又、その上で、どこまでの地歴調査をしたのかを当事者に説明し、そのおそれや可能性の有無、又専門家による調査が未了であれば、未了という事実を明示することが重要です。その情報は買主にとって取引をするか否かの重要な判断情報となります」と述べています。
ここまで詰めておくことが重要ですね。
具体的な地歴調査のポイントは下記の通りです。
・ 売主や所有者から聴取するとともに「告知書」の提出の協力を得ること
・ 土地の外観等の調査確認をすること
・ 登記簿謄本による調査確認をすること
・ 行政機関の窓口における資料の調査確認をすること
・ 近所の人等から、従前の土地利用の状況の記憶をたどる調査確認書等を行うこと(同上)。
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、土地又は建物の過去の履歴や隠れた瑕疵など、取引物件の売主や所有者しか分からない事項について売主等の協力が得られない時は、売主等に「告知書」を提出してもらい、これを買主等に渡すことにより将来の紛争の防止に役立てることが望ましい。
なお、売主等の告知書を買主等に渡す際には、当該告知書が売主等の責任の下で作成されたものであることを明らかにすることと言っています。
ちょっとした注意ミスや気がかりなことをなおざりにした結果、大きなミスにつながる可能性がありますので、少しでも疑問に思った事は、調査するようにしたいものです。
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